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低血圧ノアクン
「たける~おはよお?」
「イッ…!!」
機嫌よくダイニングまでスキップで降りてきて挨拶ついでにキッチンに立っとった猛の背を景気よく叩く
いや~気持ちのええ朝や…
まなは夜風が寒かったのかぴとっとオレに引っ付いて寝取るし起きたら顔真っ赤にしてあわあわして昨日の事思い出して余計あわあわして…
最後はかぁーっと赤くなってオレに向かって「あっちいけ!!ばかっ!!」とか言って布団にくるまっとった
朝から最高の目覚めやった…
満面の笑みで上機嫌に挨拶したのになぜか猛はじとーっとこっちを睨み付けて丸めた背中を摩ってる
猛までそんなまなみたいに………あ…
「猛もしかして昨日とうとう下を経験して…」
「………違います…」
「ムッツリとともに性癖もこじれて…」
「断じて違います!!」
「猛クン…あんな小柄なオトコノコに組み敷かれる趣味があったなんて…キャッ♥」
「…ほんとに…しばき倒しますよ……」
「オレに勝てると思うん?」
「………猛さん!!ケンカッスか!?…漢ッス!!」
「おぉ!!なんか『漢』てカッコいいね!!」
「…………」
と、まぁ…そんな軽い口を叩きながらまなの隣の席に着く
猛も飽きれて朝飯づくりに戻った
猛のわんこと健斗だけがキョロキョロしてなんで~って猛のエプロンをひっぱっとる
椅子に体育座り座るまなはまたあのパーカーのフードを深く被ったいじけスタイルになってオレと目が合うとフイっとそっぽを向いていじけてるアピールをしだした
ブツブツ何か言いながらジャージの裾をいじっとる
いやもうこれだけでお腹いっぱいやわぁ…
ごちそうさま…
そうやって朝飯ができるまでの間いじけるまなにちょっかいをかけとったらふらぁ…っと幽霊みたいな志波が入ってきた
なんちゅうか…いつもみたいな無駄な派手さがなくて皆驚いて二度見するほど存在感が薄かった…
そんな志波がふらぁ…っとオレとは逆側のまなの隣に座る
まなもなんだかおろおろしとった
「んー…学…?ぐっもーにん……」
「え…?あ…おは、よう…」
「どうしたんスかノア先輩ぃぃぃ!!!」
「………うるさい……」
「ノア先輩死んじゃいやッスー!!」
「志波君死ぬの!?やだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「うるさいな!!低血圧なの!!静かにしてよ!!」
志波はそう大きい声を出していらいらした様子で立ち上がるとそのままふらぁ…っと座り込んで机に突っ伏した
「し…志波…大丈夫…?」
「……学は優しいね…?」
「え、別にそういうわけじゃ…」
「じゃあさ…背中撫でて欲しいな…」
「わ、わかった…」
おろおろしたまなが志波の背中を摩り出す
志波は満足そうに笑ってオレを見た
……………
「おいまな、離れ、変な菌がつく…」
「菌って…ひどいなぁ、俺ホントに辛いのに…」
「オレがさすったるわ…」
「………痛い、痛いよ銀くん、それ爪立ててるよね?」
「気のせいや」
「ぎ、銀…」
こうして夏休み別荘(志波の)旅行二日目がスタートした
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