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summer vacation
翌朝……
昨日より少し遅めに皆ダイニングに集まった
「…………」
「銀、学は?」
「ん~?ふふっ、せやなぁ…まなお寝坊さんやしなぁ~…まぁ、今朝は朝早くから起きとったけど…」
「?じゃあ…なんで学来てないの?朝ごはんいらないの?」
「早起きしすぎて疲れちゃったんやなーい?」
「あ、じゃあおれ学の卵焼き食べる!!」
「ダメです、玉子焼きは1人5切れまでです」
「ぶー!!ケチー!!」
「……4…」
「ヤダッ!!5でいい!!5がいい!!」
……………
「志波先輩、朝ごはん食えますか…?」
「………」
「…?先輩?」
「えー!!志波君いらないのー!!じゃあ志波君の卵焼きはおれが…」
「……3…」
「いらない!!志波君の卵焼きいらないよ!!」
「………」
猛に玉子焼きで脅されて健斗がバーッと自分の席まで走って戻っていく
銀くんは異様にキラキラしてるし猛と健斗もなんだか頬を赤らめて活き活きしてた
なんか皆…つやつやしてる…
イラッとした
俺なんて寝不足でお肌の調子も悪いのに!!
「先輩!?」
「………」
べたっとダイニングのテーブルに突っ伏すと猛だけが少し心配してくれた
あーあ銀くんと学は夜も…しかも今朝もしたんだ…
いいないいなー
こんなんなら無理やり押しかけて銀くんに殴られるの覚悟してでも二人がにゃんにゃんしてるとこ見とけばよかった…
それだけで一か月はおかずに困らないのに…グスン…
ガンッと大理石でできたテーブルに頭をぶつける
痛い…
するとその音を聞きつけて例のわんこがやってきた
「先輩!!ノア先輩!!どうしたんスか!?大丈夫ッスか!?死んじゃいやッスー!!」
「うるさい…」
「あ、生きてる!!」
「あっち行って…」
ホント昨日の俺はどうかしてた…
はぁ…っと肩を落とす
こんなチビ犬に手を出しかけるなんて…
おかげで寝不足でお肌の調子は悪いし、いつもより朝辛いし、学と銀くんのにゃんにゃんもおがめなかったし…ホントどうかしてた…
顔を両手で覆って再度はぁ…っと深くため息を吐いた
「…先輩……?」
「………」
「お、おれの卵焼き…いります…?」
「………」
若葉ちゃんが首を捻ってちょっと心配そうに俺の顔を覗き込んでいる
…………まぁ…どうかしてたけど…
「……先輩…?」
「いい…いらない…」
「……そ……ッスか…」
「………でもまぁ……thank you…」
「!!」
悪くはなかったかな…
若葉ちゃんが顔をパァっと輝かせている
なんだか鼻をふんふんして喜んでる様子がおかしくて思わずフッとつられて笑ってしまった
「あ、先輩笑ったッス!!」
「……若葉ちゃんが変な顔してるからだよ」
「ひどいッス!!ノア先輩だって変な顔ッス!!」
「猛ー、俺もご飯食べるー…」
「無視ッス!?」
明けた窓からさぁっと潮風が吹きこんでくる
なんだか残りのsummer vacationも楽しく過ごせる気がした
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