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番外編 ハッピー?バレンタインデー⑦

(放課後…放課後っていつからだ?) 午前8時に出勤してから数時間。時計の針が頂点に迫ろうとしていた頃、俺は仕事用 眼鏡(ブルーライトカット)をかけてシャツの袖を捲り、今日も今日とて にらめっこをしていた。 誰とって?もちろんパソコンとだよ。なに言ってんだ、当たり前だろ。社畜ナメんなよ。 当然、オフィス内には笑い声ではなくカタカタというキーボードを打つ音や紙の擦れる音が響く。 ちらりと視界の端に周りを見れば全員 鬼気迫る表情で黙々と作業をしていた。 俺も例外ではなく、視線は依然と液晶へ向き手を止めることはしない。が思考は今朝のメールに飛んでいた。 …アイツの学校、今日は何時に終わるっけ… 金曜日…金曜日は……16時か? もう少しかかるだろうか? だとしても、結局 俺の仕事が終わるのが20時は過ぎるだろうし…そうなるとアイツ会社に来るのか?え?マジで?何しに…? ……はぁ…彼方の意図が全く読めない。 (ワケが分からないのはいつものことだが、今回は一段と意味がわからん。) アレか?『明日香から会いに来れないなら俺から行っちゃうもんね(ハート)』的なアレか? ……うん、絶対違うよな。知ってた。明らかにアイツが言わなそうなことtop5に入るわ。 いかんいかん、混乱のあまり妄そ…思考があらぬ方向に行ってしまった。 じゃあなんだ…文句を言いにとか?態々?そんなバカな。 わ、別れ話…とか…?いやいや そんな…そんな……え、もしかしてもしかするのか…? そ、そんなバカな……ッ(二度目) 本当に?待って、待てよ。んな事になったら俺死んじゃう。ムリムリ、もう生きていかれない、本気で死ぬ。 あー駄目、だめだめ、ダメだろそんなん……あ"~… 取り敢えず仕事だ、仕事を済まそう…… 俺は負のスパイラルに陥りそうになったため、そこで一旦 考えることを放棄した。 ───「なぁ、なぁおい見ろよ、日向さん真顔で泣きながら猛烈に文字打ち込んでるぞ…腕以外の部位が微動だにしてないんだよ、マジそろそろヤバイって……」 「あー…あの人時々 情緒不安定になるからな…元々忙しい人なのに今月は更に立て込んじゃったから、相当きてんだよ。そっとしといてあげようぜ。」 「……そうだな、はぁ…俺もさっさと終わらそ。」 「おぉ、そーしろそーしろ。時間がもったいねぇぞ。」 (((あぁ、癒しが欲しい…)))

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