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ばれました。④~幼馴染み編~
コポポポポ……
手元のカップにお湯を注ぎ入れる。
たちまちのうち湯気と共に昇ってきたコーヒーの香りは、インスタントと言えど侮れない。
ひとりコーヒーを淹れながらリビングの方で彼方たちが話す声に耳をたてた。
「 彼方君って明日香と付き合ってるんだよね?」
「…まぁ……、はい。」
「何歳?大学生…って訳ではなさそうだよね?」
「……16歳、高2です。」
「え!16歳!?ホントに!?!?」
「…はい。」
「ちょっ、明日香!!!お前ッ!!!」
「何だようるせぇな、ほらよ。」
カタッ…と秀一、彼方の前にコーヒーとティースプーンを置く。
「あぁ、サンキュー…じゃなくて!!!」
「ンだよ静かにしろよ。近所迷惑だろうが。」
「だってお前16歳だぞ!?犯罪じゃないか!!わかってんのか!?」
「犯罪じゃないしわかってるよ。」
「いいやわかってない!!!」
そう叫びながら秀一がぐいぐい俺に迫ってきた。
顔が近ぇ…
「あのなぁ、高校生なのは目を瞑るとしても、彼方君はまだ18にもなってないじゃないか!いくら本人達が真剣に付き合ってたとしても、周りからは援交だと思われるぞ!!」
「お金なんか渡してねぇよ。」
「当たり前だろ!!!もし渡してたら今ここでお前のことぶん殴ってるよ!!問題は事実かどうかじゃない!!!」
秀一の表情がより険しいものになり、口調も強いものになる。
「高校生で、しかも男同士だなんて…。その時点で周囲の反応がどうなるかなんて想像つくだろ!?」
「まぁいい顔はしないだろうな。」
「当然だ!!」
はぁ~…秀一は一際深い溜め息を吐くと机に肘をつき項垂れてしまった。
「明日香、お前はもっと賢い奴だと思ってたよ…。」
一気に部屋の空気が重くなる。
アナログ時計のチッ…チッ…チッ…と時を刻む音だけが響いて、一層場の静けさを露にする。
俺がこの空気に耐えられなくなり口を開こうとしたその時
「あの…」
という声に遮られ、開きかけた口は再び閉ざされた。
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