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足りない。
はぁ…
冷たく澄んだ高い空に吐き出された乳白色の息が溶けていった。
「さっむ…」
2月某日am.7時23分。
とても爽やかな気持ちの良い朝である。
しかし些か薄着で来るのはまだ早かったようだ。
…俺、日向明日香は昨日から泊まり込んで仕事をしていた職場を脱け出し、朝食を買いに薄手の上着一枚を羽織り近くのコンビニに来ていた。
「……あの糞作家…次 納期遅らしやがったら血祭りにしてくれるわ…!!!」
ボソリ…呟かれた言葉にすれ違った通行人がギョッとして振り返る。
俺は大幅に狂ってしまった予定に思考を巡らせながら、沸々と沸き立つ怒りを隠しもせずコンビニに入った。
一瞬店員が「ヒッ!!!」と言った気がするが構わず中へ進んだ。
(…お兄さん、流石にその反応は傷付く…)
…自覚はある。俺だって、顔面蒼白で目の下にでっかい隈蓄えて今にも人を殺しそうなほど(と言うか寧ろ殺してきました位)に危機迫った顔の奴が入ってきたら恐いけども。
…そこは笑顔で「いらっしゃいませ‼!!」が聞きたかったよ。
俺は適当にお握り二つに惣菜をいくつかと昼のためのカップラーメンを手に取り最後にお茶、栄養ドリンクを引っ掴んでレジへ向かった。
会計を済ませて店を出ると時刻は7時半になっていた。
(校閲は粗方済んだから、後は……)
何とか午前中には終わらせなければ。
さっさとしないと印刷業者にまた文句を言われるな。
そのためにはちんたらと朝飯を食っている暇はない。
「はぁ…つら……」
俺は本日二度目の溜め息をついて会社に足を向けた。
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