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番外編 ハッピー?バレンタインデー⑤
………。
来ない。
返信が、来ない。
……彼方にメールを送り更に仕事に明け暮れること数時間。
なんとか今日のノルマを終わらせ、最終的に自宅へ着いた頃には12時を回っていた。
当然 終電は終わっていたので仕方なくタクシーを使って帰った。
あぁ…俺のなけなしの金が……
疲労困憊の中、どうにか風呂にだけは入り、流石にもう返信が来ているだろうとメールボックスを開いた。
が、何度確認しても彼方からの返信はなく、あるのは明日の予定を知らせる会社からの連絡だけ。
(マジか……)
これは確実に怒ってるパターンだ。
どうする…ここはやっぱ電話しとくべきか……
いや、そもそも電話出るかなアイツ……
…以前に喧嘩したときの事を思い出す。
ムスッ…とした顔で、何を言っても何を訊いても一切反応を示さず、目も合わせようとしない彼方…。
その時は仲直りするまでに2~3週間掛かった気がする。
「はぁ~…」
寝室のベッドに腰掛け俺は頭を抱えて溜め息を吐いた。
(今 彼方と喧嘩するのはキツイな…。)
既に仕事のせいで疲れているのに、声すら聞けなくなるのは俺の体力的にも精神的にも辛かった。
出来ることなら少しの合間だけでも会いたい。
それが無理でも、せめて喧嘩になるのだけは避けたい。
(あぁー…どうしたもんか……。)
散々 悩んだ挙げ句、結局 俺はスマホの電源を消して寝床に入った。
(一時過ぎだし彼方ももう寝てるよな…仕方ない。今日はもう寝よう。明日だ明日。)
一回寝れば何かいい案も思い付くかもしれない。
そう言い聞かせて俺は考えることを放棄し眠りについた。
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