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第6話

「……何もしなくていい。帰ってくるようにする」 そう言ってから後悔した。何で俺が最近会った高校生のガキの為に生活を変えないといけないんだと。 そんな俺とは反対に八神は口元を緩め安心したように息を吐いてソファーに座った。 「ここに置いてやるのはいいが、親御さんは大丈夫なのか」 「どうせ心配なんてせえへんから」 「………………」 「別にどうも思ってへんからそんな顔しやんで」 いつの間にかこいつに同情の目を向けてしまっていたらしい。八神の親はそういう親なのか。じゃあわざわざ携帯の連絡先に母さんなんていれるか?返信だってきたし。 「でもお前は……」 「なぁんも言わんで。お願いやから何も聞かんとここに置いて?」 そういって自傷気味に薄く笑う。辛い筈なのに強がってそうするのはこいつが弱くて脆いから。 「学校は」 「行く行く、ここから近いし。」 「そうか」 さて、じゃあ明日からはどうするか…仕事を終わらせて帰ってくるのはきっと大分遅くなる……面倒くさい。 そんなことを思っているといつの間にか俺のそばにいた八神が俺の眉間をつついてくる。 「何?考え事?俺のこと?」 「自惚れるな」 「んふふ、ごめんなさぁい」 両手を顔の前で合わせてからソファーに戻っていった。

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