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第10話
色々作業をしていると肩や首がこってきて、頭が痛くなる。もともと頭痛持ちな自分は頭痛に関してはもう諦めてるが、それでもやっぱり痛いのは痛いし、しんどいのはしんどい。
「…はぁ…」
溜息を吐くとコトっとデスクにコーヒーが置かれて、顔をあげると命が「お疲れ。」と言って立っていた。
「お前ちゃんと寝てるか?」
「寝てる」
「そうか?さっき言ってた高校生のせいであんまり寝れてないんじゃねえの?お前あんまり人が好きじゃねえんだし」
人が好きじゃない、と、いうより…
知人や仕事関係での人間も、俺はある程度の距離を保って接している。それは昔からの癖で自分の本心をあまり知られたくないから。
「……もししんどいなら追い出せよ」
「追い出すなんてできねえよ。」
あいつの寂しそうな顔を見たことがある。あいつの暗い物を感じたことがある。それなのに追い出すなんて俺は、とてもじゃないができない。
「…ならたまには休め。仕事だってお前程じゃねえが俺だってできる。」
「……ああ」
「ほら、本当は寝れてないんだろ、親父にいってきてやるから今日は帰って寝とけ」
実は命の言う通り最近あまり眠ることができてなかった。完全に体を休めることはできなくて、きっと疲れがたまってきたのだろう。
命の言葉に頷いて資料をもって立ち上がる。なのにすぐに止められて、資料を持って帰るなと言われて思わず眉が寄った。
「俺の仕事だ」
「休むときは休むんだよ」
「うるせえ」
「何でそんなに仕事が好きなのお前って…」
だって俺には取り柄がない。なら頑張ってなんとかして取り柄を作るしかないだろう。
「その半分は置いていけ」
「…チッ」
だが命は関係ないというように、俺から資料を半分引ったくった。
「はい、お疲れさま。」
「…ああ」
いつもより帰路につくのが大分早い。少し新鮮な気持ちで組を出た。
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