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第35話

「若もいいって。」 飯を食い終わって若に電話をすると「いいぞー」と完全に寝起きの声で言われた。 「やったぁ!じゃあ準備…って普通の服でええのん?」 「ああ。今日学校に行く気は?」 「ない!」 「…なら普通の服でいい」 寝室に消えていった八神を見てから、俺はいつも通りシャツに手を通し、自分の準備を進める。 「大和ぉー!!」 「何だ」 「大和の服借りんでー!」 「ああ」 好きにしてくれと返事をして、ネクタイを締めようとしてるとひょいっと現れた八神が「俺がやる!」と俺の手にあったネクタイを奪っていった。 「えっとなぁ…こうして……あれ?ん?…こう?」 「…違う」 「あれ!!?俺毎日…やないけどたまに自分のやってんねんで!?」 「人にするのは難しんだろ、…もういいか?」 「あかん!俺がやる!」 「早くしてくれよ」と言うと「任せとけ!」と言われたけれど…もう時間が無い、任せていられない。 「今日は時間ないから終わりだ」 「えぇー。」 「えーじゃねえよ」 「じゃあどうすんの!」 「何がだよ」 「大和のネクタイ締めれるようになれへんやん!」 「…練習しとけ」 「どうやって!!」 「さあ」 自分でネクタイを締め直して、さっさと用意を済ませ出る時間まで少しゆっくりする。 「時間あるやんか!」 「ねえの、ゆっくりさせろ。」 「もぉ!!」 ソファーに腰掛ける俺の隣に座ってきた八神は俺に寄りかかって小さく息を吐いていた。

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