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第44話
「八神さん喉渇いてませんか!」
「乾いてないよ〜」
「腹は!?減ってませんか!」
「減ってないよぉ〜」
「何かしてほしいことは!」
「俺のことちょっとほっといてほしいかなぁ」
「それは無理です!」
俺の周りを囲む仲間たち、さっきからやたら気遣ってくるけど、そんなんいらんし。
「わかった、じゃあこうしよう。」
「何スか?」
「校内鬼ごっこ!俺が鬼な!1分待つから!」
「今から!?全員で!?」
「全員で!!」
「はよ人集めろ」って言うと周りにいたそいつらは携帯を一斉に操作し始めた。それから5分もしないうちに俺らがいた教室にめっちゃ人が集まった。
「おー、さすが」
「はい!ありがとうございます!1分ですね!!」
「うん、じゃあ始めんで〜。いーち」
そう言うと今までここに皆がおったんが嘘やったみたいに一斉に消えてった。さあ、これで一人でおれる。
グーって伸びをしてから机に顔を伏せる。すぐに睡魔はやってきてゆっくりと目を閉じた。
***
「八神さん!八神さん!起きて!」
「んぁ…?」
「何寝てるんスか!!ひどいっスよ!!俺たち真剣に逃げてたのに!!」
ああ、そうやった。鬼ごっこしてたんやったな。
「…やってさぁ、眠たかったしー」
「俺たち"今誰が鬼なんだ"って走ってるやつ見るたび焦ってたんスからね!!」
「ごめんやん」
そう言ってから時計を見る。時間も結構経ったみたいやしそろそろ俺も帰ってええやろ。そう思ってカバンを持って立ち上がった。
「どこ行くんですか?」
「帰る」
「駄目です!!せめて昼飯ここで食って帰ってください!!」
「嫌や!!」
「嫌じゃない!!」
ジタジタ暴れる俺を3人がかりで止めてきて椅子に無理矢理座らされる。さすがに面倒臭い、これは俺も我慢できひん。
「あーあ、喉乾いたぁお腹すいたぁ」
「何要りますか!」
「いちごミルク飲みたいしぃ、焼きそばパン食べたいしぃ」
「買ってきますね!」
帰らせてくれへんのやったらめっちゃこき使ったんねん!!
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