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第83話

ここに来るのは2回目「大丈夫だよ」って背中を撫でられる。途中で聞いた、この人の名前は鳥居さん。優しい言葉で俺を安心させようとしてくれてる。 「大和…」 「こっち座ってよっか」 建物に入って椅子に座らされる。体にうまく力が入らなくて鳥居さんに支えてもらいながらそこに座った。 「八神くんは…早河さんの恋人、なのかなー?」 「う、ん」 「そっかぁ。…なら、尚更大丈夫だよ。早河さんが大切な人を置いて死ぬなんてこと無いから」 「そ、そんなん、わからへんやん…」 「わかるよ、あの人はそういう人」 隣に鳥居さんが腰掛ける。その時ちょうどトラさんが奥の部屋から出てきて、俺たちを見てひらひらと手を振った。 「トラ、早河さんは!」 「大丈夫、今は寝てるわ。…でも、傷が深くてねぇ、もうちょっと遅かったら危なかったかも。」 トラさんが俺の手を掴んでゆっくり立ち上がらせてくれる。情けなく震える手、そのまま引かれて大和が寝てる部屋に連れてこられた。 「やま、と」 「もう大丈夫、あとは目を覚ますのを待っててあげて」 「…トラさん、俺っ」 「不安よね、私もここにいるから、泣かないで」 いつの間にかまた泣いてしまってたみたい。涙を優しく拭ってくれたトラさんはふんわり柔らかく笑った。 「一緒に、待ってましょうね」 「…うん」 そうして抱きしめられる。トラさんは俺を安心させてくれる。俺の不安な気持ちをわかってくれてるから。 「大和が起きるの、いつぐらいかなぁ」 「そうねぇ、もしかしたら少し時間がかかるかも」 「そ、っか」 寂しいなって、悲しいなって、息をするのが苦しくなった。

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