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第90話

それから数日経ったある日。八神はサノに連れられて警察署に行った。二時間ほどで帰ってきた八神は何もされなかったらしいが、精神的に疲れたみたいでその日はダラダラと寝て過ごしていた。 「大和」 「ん?」 「俺の、親たちが捕まったら…俺、どうなるん」 「…お前はどうしたいんだ」 「……大和と、一緒におりたい。ずっと一緒におる」 「でも、」と続けた八神。 何だ?と首をかしげると、なぜか涙目になって俺を見てくるから、どうしたんだと心の中で焦ってしまう。 「俺、犯罪者の…人殺しの、息子やで…?嫌やない…?」 「……。なんだよ、そんなことか」 そんなこと言われちゃ、俺だって人殺しだよな。と思い、そう八神に言うとブンブン首を振る。 「違うもん…」 「何がだよ」 「俺に、とっては、ヒーローやし、大切な大切な恋人やもん」 「……こっち来い」 腕を伸ばし八神にこっちに来るように言うと素直に言うことを聞いて俺のもとにやってくる。 「俺だってそうだ、そもそもお前はお前だし、俺の大切な恋人だからな。お前の親のことなんて正直どうでもいい。お前さえいいなら、俺はずっとお前の隣にいる」 「……っふ、ぅ…そんなん、当たり前やん。ずっと、俺の隣おってっ」 「ああ」 「大好き。俺…絶対、何があっても大和から離れへんから!!」 「俺もだ」 「約束やで!破ったら…うーん……まあ、その時考えるわ」 ふふっ、と綺麗に笑った八神に俺も笑みを返す。 俺の首筋に顔を埋めてあぐ、と軽く噛みついてきて、少しの痛みに眉を寄せる。やめろと言おうとしたがその後に幸せそうに八神が言葉を続けたから言えなかった。 「やっぱり、誰かと一緒に生きるのって、いいなぁ」

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