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第91話
「ずっと、一人やったから。こうやって何でも自分の思ってること言われへんかったから、自由になれるんやって思ったら嬉しくて泣いてまう」
「寂しくはねえのか、お前の親が捕まるんだぞ」
「…そりゃあ、少しは思うけど…あの人たちがしてきたこと考えたらそれは違うと思うから」
「そうか。」
俺の膝に向かい合わせで座り離れようとはしない八神。可愛いなと背中を撫でてやってると「眠たい」と言い出しついにはそのまま眠ってしまった。
ソファーに八神を下ろし自分はググッと伸びをする。
コーヒーを淹れて、携帯をいじりながらそれを飲んだ。
一人の時間、八神がそこにいるから一人ではないのかもしれないが、そう感じてしまうのはついさっきまで八神と話していて少し寂しいと感じるから。
「どこまで溺れてんだよ、俺は…」
高校生のガキにここまで本気になって、一生手放せるわけねえだろ、なんて思いながらまたコーヒーを啜った。
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