若はまだ寝てるのだろうか。ノックをして声をかけても返事がない。静かに部屋に入らせてもらうとベッドで眠ってる若がいて。 「寝とるな」 「どうする…？ここで若が起きるの待ってるか？」 「うん、寝起きドッキリするわ」 「…わか、った……？」 わかったでいいのかわかんねえけど。 軽く首を傾げながらそう返事すると何故か笑われて、八神をそこにおいて俺はまた幹部室に戻った。 「八神が来てんのか？」 幹部室に戻ると命が来ていた。 おう、と頷けば心配そうに「あいつ、大丈夫なのか」と聞いてくる。それはここにいて大丈夫なのか、ではなくてきっとあいつの親のことだ。鳥居かトラかに話を聞いたか、ニュースを見たのか。わかんねえけど。 「今は不安がってる」 「親が捕まったんだもんな、そりゃ不安になるか。……お前も、怪我したんだろ。トラから聞いた、あんまり一人で無理するな」 「ああ」 「今回はいけると思ったのか？」 「思った」 「お前の一人で行動する時の"いけると思う"は無理な時だ」 ケラケラ笑われて、「あ？」と思ったけど長い間ずっと一緒にいるんだ、命のいうこともちゃんと頭に入れておかねえとあとで痛い目に見るかも知んねえからな、と頷いた。 「八神は？」 「若のところにいる」 「若、寝てなかったか？」 「寝てた、ドッキリするとか、言ってたが…」 「……止めなくてよかったのか？」 「わからん。」 その会話の直後、「ギャァァア！！」と若の叫び声が聞こえた。