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第100話

1人で行動するなって言われたから学校に行くのもそうなんかな。と思って近くに住んでいて、さらに言えばいつも単車で学校に来てる仲間のアイに連絡をする。 「はい」 「おはよ」 「何だ」 「迎えに来てくれへん?ちょっと色々あってさ」 「…今どこだ」 「えっとな…」 ここの家のことは教えてなかったから住所を伝えると「わかった」と言って電話が切られた。多分すぐ来てくれるんやろうし、用意はバッチリにしとかな!と部屋の窓を全部閉めて水を一杯だけ飲む。 「ユキくんは大丈夫なんかな…」 心配事がいっぱいあるけど、今は考えるのをやめようってアイから連絡が来るのを待った。 *** 「何でアイと来たの?」 「いや、ちょっとな」 アイと2人で学校に来た俺に、隼人が不思議そうに聞いてくる。それに適当に返してると「顔色悪い」と禁煙中でいつも飴を持ってるアメが甘い飴をくれて「食え」と1つ包装を破って飴玉を俺の口の中に無理矢理入れてきた。 「甘い…」 「飴だからな」 「虫歯なるで、こんなん」 「歯磨きはちゃんとしてるから大丈夫だ」 大丈夫と親指を立てて見せてくるアメに鼻だけで笑う。 いつもやったらこんな空間が楽しいとか、面倒くさいとか、そんなことを考えるのに今日は違う。 忘れよう忘れよう思ても忘れられへん。 「琴くん?」 「…………………」 今日も大和はちゃんと帰ってくるんやろうか。 まだ抗争は始まってない言うてたけど、そんなんいつ始まるかもわからんのんやろうし… 「琴くん!」 「うわっ!」 肩を持たれて顔を上げたら俺の顔を覗き込んでるハチとバチっと目があう。 「どうしたの、怖い顔して」 「い、や…」 「何かあったの?」 「…い、いやぁ何もない何もない!」 俺が笑顔を見せると少なからず皆俺の様子が変やって思ってたんか、ホッと胸をなでおろしてる。…いや、皆やなくてハチ以外、やな。 「琴くん、話があるんだけど?」 「はいはい」 にっこり笑ったハチに腕を掴まれて教室を出た。

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