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第103話

大和が時々吸ってる煙草。 今日は朝からあんなことがあったから忘れてしまったのか、それが机の上に寂しそうに置かれてあってついつい手に取る。 「…うまいんかな」 一本拝借してライターを探し見つけたそれで火を点ける。 吸い込んで吐き出して、あ、意外とうまい。 バレたら怒られるかなって思って急いで窓を開けて換気扇も回す。 多分これずっとやってたらあかんな、癖になる。 早々に火を消そうと思ったけど、面倒くさく感じて結局フィルターギリギリになるまで吸った。 「ただいま」 それから少しして帰ってきた大和はリビングに入ってきて、俺に近づくや否や腕を掴んで「吸ったな?」と聞いてくる。 「意外とうまかった」 「…あんまり吸わないほうがいい」 「うん、わかってんねんけどな」 そういう好奇心に勝てるものはないと思う。 風呂を沸かして飯を作って「さあ食べよか」って時に「なあ」って低い声で言われて、一瞬にして体が固まった。 「明日買い物に行かねえか」 「え?…あ、そんなこと」 「はあ?何だと思ったんだよ」 「いや、なんか悪い話かなって思ってん…。うん、買い物な!行こう」 こんな時やからこそ何も気にせずに買い物に行ったりするのもいいのかもしれん。気遣ってくれたんかな、って思うとやっぱり大和は優しいなって改めて感じた。

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