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第114話
「東雲 緋 」
短く名前を名乗った男は面倒臭そうな表情をして俺の前に座ってる。
「え、っと…?」
「お前の監視役だ」
「あ、若頭さん」
「ああ?」
「…宗一郎」
今の今までおらんかったのに、突然現れたらびっくりする。
「これ使え、何かあれば連絡しろ」
渡された携帯ジッと見てるだけの俺に痺れを切らしたのか若頭さんが俺の手をとってそれを無理矢理持たせた。
「こんなんいらん」
「持っとけ」
「でも、いらん」
「…怒るぞ」
そう言われたら持っとくしかない。
俺のって用意してくれた服に着替えてバッグを持って、田中組が出してくれる車に乗り込み学校に向かう。
何故か隣には若頭さんもいるけど。
「そうや、宗一郎って、何歳なん?」
「何歳に見える」
「わからんから聞いてんけど」
うーん、子供っぽいところあるし、20歳は超えてるけど前半くらい?
「26だ」
「え、嘘やん」
「何で嘘つくんだよ」
ギロッと睨まれて口を噤む。
怒らせたら面倒くさいからもう黙っとこ。
少しして着いた学校、久しぶりすぎて胸が高鳴る。
「終わったら連絡しろ、迎えに来る」
「…はーい」
俺に自由の時間は無いらしい。
車を降りて東雲さんと一緒に校舎に向かった。
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