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第128話 琴音side
フラフラってやってきた、前とは姿がガラッと変わった田中組の建物。宗ちゃんの部屋やった場所に入って、床にヘナヘナと座る。
窓のガラスは割れて欠片が散らばり、綺麗に並べられていた棚も倒れてしまっていた。
「…帰る場所、なくなった」
落ちているガラスの破片を拾って強く握る。
ピリピリと痛みが走るけど気にせずにそのままボーッと部屋を眺めた。
そう言えば、東雲はどうなったんやろう。
無事でいてくれたらいいけど、もしかしたら東雲も、ここの場所がなくなって帰ることができんくなってるのかもしれん。そう思うと悲しいのが増してきて、自然と涙が溢れ頬を伝う。
「あー…もう、ほんまに…全部、なくなるなぁ」
昔から、好きやったものは全部なくなってきた。
次は何がなくなるんやろう。学校の仲間とか?もしかしてユキ君かもしれへんし、命さんかもしれへんな。
そう思うともうこれ以上苦しいのを味わうのが嫌で、手に入る力がググッと強くなる。
フラフラと立ち上がってベッドに寝転ぶ。
そこからはまだ微かに甘い宗ちゃんの匂いがした。
寝返りを打った先、ふと視線に入った煙草と宗ちゃんのジッポ。2つを手にとって煙草を咥え火をつけ、煙を吸うと美味しくて自然と口角が上がる。
煙草を持つ手はさっきまでガラスの破片を握っていたから血だらけ。手を上にかざせばポタポタと血が降ってきて顔を汚した。
そんな時、ドタバタと誰かが走ってくるような足音が聞こえて、なぜかひどく恐怖を感じて慌ててさっきのガラスの破片を手に持った。
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