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第131話
いつの間にか気を失った俺は目を覚ますと見たことのある天井が目に入った。
視線を横にずらすと大和が俺の手を握りながら眠っていた。
どれくらい時間が経ったんやろうか、重たい体を起こして溜息を吐いた。
「…大和、風邪ひくで」
毛布も被らんと座ったまま寝てるから、トントンと肩を叩いてそう言うとパッと目を開けて俺を凝視した。
「…こ、とね」
「風邪ひく」
「琴音っ」
抱きしめられて倒れないように手を着くと傷が痛んだ。それに気づいたのかゆっくりと離れていく。
「…宗ちゃんは、もう、行ったん」
「ああ、しばらくは出てこれねえよ」
その言葉が胸に刺さって俯くと「琴音」と名前を呼ばれたのと同時に、怪我をしていない方の手を取られて軽く引っ張られる。
「すごく、後悔してるんだ」
「………………」
「あの時、お前じゃなくて浅羽組を選んだこと、お前を傷つけたことに」
ただ何も言わずに大和の言葉を聞いてる。
ジッと見つめてると少しだけ、大和の目がうるっとしているのがわかって焦った。
「生きてて、よかった…」
震える声で大和の言った言葉に心が震えた。
鼻の奥がツンとなって涙が溢れてくる。
「バカなこと言うなって言われるかもしんねえし、俺のことを許してくれなんて言わねえけど、お前のこと、今度こそ、ずっと愛すから…」
「…ふ、っ」
「戻ってきてくんねえか…?」
ポロポロと頰に伝う涙は、宗ちゃんのことを思ってのものか、それとも自分のためだけに流れているのか、わからへん。
「宗ちゃんにも、大和に愛されるように言われてるからなぁ」
「………………」
「…帰ろっか、家に」
大和の手をキュッと掴むと嬉しそうに笑った大和は、そのまま俺を抱き寄せて首筋に顔を埋める。
「好きだ、琴音…」
「…うん」
まだ、俺は同じ言葉を返せないけど、初めて見た時に一目惚れしたように、次もまた大和に恋するのにそんなに時間はかからんやろうと口角を上げた。
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