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第144話

翌日、大和が車で学校まで送ってくれて、俺はそのまま教室へは行かずに保健室のベッドで横になる。 「もうちょっとしたら教室行こ…」 まだ寝たりひん。目を閉じたらすぐに夢の世界がこんにちはって手を振ってきた。 やのに、突然保健室のドアがうるさく開いて、俺の寝ていたベッドのスペースを区切っていたカーテンが開けられる。 「琴くん!!」 「ああ、ハチ」 「"ああ、ハチ"じゃないよ!!何してたのさ!俺達心配してたんだよ!!」 勢いよくそう言ったハチ。そもそもなんでここにおることがバレたんやろう。 「車で来たのは見えたけど、絶対に真っ直ぐ教室には行かないと思って、ここに来てよかった!」 「…………」 「なんで黙ってるのさ!」 「うわっ!!」 怪我してる腹を思い切り叩かれそうになって慌てて手で防ぐ。 「あっぶな!ここ、怪我してんねん、やから叩くのやめて」 「なんで怪我してるの」 「撃たれたから」 「撃たれたぁ!?」 ハチの顔がめちゃくちゃ怖くなって、ゆっくりと体を起こしベッドの上に座ると頬を叩かれる。 「……………」 放心する俺にハチは散々罵声を浴びせてきて、でも今回は俺が悪いし…と大人しくしていたら、また保健室のドアがうるさく開く。 「…わぁ、お前らも来たん」 「…来るに決まってんだろうが」 アイの綺麗な色した目が俺を睨む。 その隣ではアメがガリガリ音を鳴らしながらキレた様子で飴を噛み砕いていて、またその隣では隼人が笑顔で立っている。 「色々、説明してもらわないとねぇ」 「怖ァ…お前らめっちゃ怖いやん…」 何も話さなかったこと、許してくれるんやろか。 そんな不安と、申し訳なさに包まれながら「えっと…」と言葉を続けた。

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