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第145話

「───で、撃たれてんけど、まあもう大丈夫で」 「どこがだよ!!」 アイが俺の怪我をしてない肩にどんっと拳をぶつけてくる。 「い、た…」 「お前はいつもそうだ!!」 珍しく俺に向かって怒鳴り、肩を掴まれガクガクと揺らされた。 「俺達には無理するなって言うくせに、自分は無理して、お前は…本当、に…」 アイの綺麗な目から涙が溢れ、零れた。 ガシガシと目元を袖で拭ったアイがそのまま俺の頬を思い切り殴りつける。 「次同じことしたら許さねえ!!」 「っ…ごめん」 「今回は許してやる。お前がちゃんと、生きてたから」 いつの間にか俺もつられて涙が出てきた。 こいつらの前で泣くのなんて、恥ずかしくて嫌やけど、今日くらい、いいか。 今日くらい、俺が泣いてもこいつらは茶化してきたりしやんやろう。 「ありがとう」 「まあ、琴くんの無茶は今更だもんねー!」 ハチが俺の髪をワシャワシャと撫でた。 アメは俺に「泣くなよ」と言って飴玉をくれる。 「まあ、今回はアイの拳一つで済ませてあげるけど、次は全員だからな」 隼人がそう言って俺の隣に座った。 「で?また寝るつもりか?」 「あー…いや、教室行く」 今はみんなと一緒にいたいって思って、そう素直に思った。

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