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第146話

教室に入ると皆が俺に飛びつこうとしてきて、それを4人が守ってくれた。 「ダメダメ!琴くん今怪我してるから!」 けれどその時に何故かアイに勢いよく抱きしめられて体が痛い。アイは未だに離してくれへんと「お、おーい、アイさん?」って声を掛けたら不思議そうな顔をしながら解放してくれた。 「どうしたん?」 「守ってた」 「ん?」 「守ってた」 アイはそれしか言わない。多分…ほんまに多分やけど、俺を皆から守るためにカバーしてくれたんやろう。 「ありがとう」 「おう」 礼を言えば手を出されてまた俺は首を傾げる。 何やこの手は。 「お礼はジュースで」 「お前…」 「煙草でもいいけど」 「…ジュースな」 「ケチだな。二つともくれよ」 肩に腕を回され、面倒やから頷くと「さすがリーダー」と都合よくそう言われた。 「琴くん、俺はあれね、はちみつレモンのジュースね」 「俺はー…あ、昼飯買って」 「俺は飴。もう無くなる」 「お前ら…」 ハチに隼人にアメまでもそんなことを言うから、俺のただでさえ少ない財布の中身がまた少なくなるんかって思ったら悲しくなった。

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