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第3話
頭を押さえて痛みを我慢しながら上半身だけ起こした八神は見たことのない場所と俺達に怪訝な視線をやる。
「起きた~?動かない方がいいわよ、頭痛いでしょ?」
「…えっと……?」
「初めまして、あたしはトラ!あなたの名前はこれ、見させてもらったんだけど…八神琴音くんでいい?」
トラの言葉にコクりと頷いてから俺を見た。
「この強面ぶっきらぼうは早河、あなたのことを助けてくれた人ね?」
「あ、早河さん…」
自分で言おうと思ったのにトラが先に俺の紹介をした。ていうか何だ?強面ぶっきらぼう?お前は俺のことをそんな風に思ってたのか。
「あの…ありがとう、ございました」
「お前の親には友達の家に泊まってくるっつってある。」
「えっ!?」
「あ?まずかったか?」
「あ…いや……」
あんな喧嘩をしていて大人しい八神。髪色も特別明るいって訳でもないし。
「……帰ら、んと…」
そうポツリと呟いた八神の言葉を俺とトラは見逃さない。
八神に近づき肩を掴む。驚いて俺を見る目は怯えていて不思議だ。
「今日はここに泊まれ。」
「なんで……?」
「怪我してる。頭をな。だからここで一日は様子を見ろ」
そう言うと八神は思っても見なかった言葉を吐き出した。
「俺のこと心配してくれとるん…?」
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