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「え?」
「や、昔から嫌なことあったら一緒に寝たがるし、痛いぐらいくっ付いてくるだろ」
「……そんな昔の話…」
「違うならいいんだよ!ていうかなんかされたの俺の方だしな」
言いながらおかしな質問だと気付く。有紀は俺を抱き締めたまま動かない。
「前はあんなに泣き虫だったのに、全然泣かなくなったし…まあ、無理だけはすんなよ?」
ぽんぽんと布団の上から背中を叩いてやると、背中に回っていた腕に痛いぐらいの力が篭る。
「いでで、ち、力強いって!」
「リク。俺ほんとにリクの事好きだよ」
「…へ」
「前にも言ったけど…お兄ちゃんみたいに思ってるわけじゃない。弟でいたいわけでもないし、Ωだから手にしたいわけでもない。渥にも佳威クンにも渡したくない。リクが好きなの。大切にする。だから…本気で考えて?」
「な、にを」
「俺と番になること」
「……俺は」
「待って!今、ここで、答え…出さなくていいから」
有紀の突然の――告白だろうか。戸惑う俺を至近距離から見つめる瞳はどこか寂しそうで、有紀の望みにはハイ分かりましたと即答で頷けないのに、何とかしてやりたくなる。
「次のヒート、三ヶ月後でしょ?それまでに考えてくれない?本当ならヒートが来るまで俺の部屋に閉じ込めてたいけど…リク自身が俺を選んでくれないと、駄目だ」
恐ろしい言葉をサラリと吐きながら、何を考えているのか後半の言葉が途切れ途切れに聞こえた。
「番になりたいのも、結婚したいのも、俺がいいって思って貰わないとね!」
「……お前やっぱりなんかあったろ」
「あった気もするけど、たぶん無い!もう疲れた!寝よ!」
いつもこの唐突で予測不能な態度に振り回される。けど、不思議と嫌じゃない。渥が冷たいぶん変わらない幼馴染の態度が嬉しいと、文句を言いながらも心のどこかで思っていたりする。
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