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自然と肩が出てしまい、入り込んできた佳威の腕をそれ以上進ませないように阻止をする。 「ちょっ、と待って!ど…どうした?」 「駄目か?」 「駄目…かっ、て…何が?何のこと?」 先程は俺の腕を掴んだだけで何故が謝られたというのに。正反対の行動に戸惑う。先程から薄っすらと感じるのは、自信のない違和感。 なんか…変じゃないか? 俺の足の間に腰を落としているから両足は閉じられないし、上半身の浴衣は着崩れてあまり健全な状態ではない。こんなとこケーイチに見られたら間違いなく誤解される状況だ。 阻止する腕をすり抜けて入り込む手の平が、体を伝う乳白色の跡をなぞるように落ちて行く。お腹の辺りに残る溶けたアイスを、指の腹で塗り広げるように撫でられた。 「っ…」 「綺麗にしないと」 タオルを掴んでいた手の甲で、俺の腕ごと襟を開き、ソフトクリームの垂れたお腹まで外気に晒された。寒くなんかないのに震えが走る。 おかしい、やっぱりおかしい。 佳威が突然こんなことするなんて… 「ひっ…え…!?嫌だ、佳威、なにっ…して」 肌に髪の毛が当たり擽ったさに身を捩ろうとすると、柔らかく温かいものがお腹の上を滑った。見れば佳威の舌が、俺のお腹に垂れていた液体を舐め取るように動いている。 ゆっくりと、下から上へと。艶かしい動きに鼓動が早くなり体がカッと熱くなった。 「ちょ、ほんとに…やめ…」 佳威の反対の手が自然現象で硬くなる突起に指先を掛ける。ピクンと反応した甘い刺激と佳威の突然の行動に驚いてしまい、俺は勢い良く腰を上げた。 「あっ…!?」 だが直前に帯を掴まれ重心が前に掛かり前のめりの体勢に。咄嗟に佳威に覆い被さるような格好で肩に手を付いた。 その時。 ふと手の平に感じたのは、繊細に施された刺繍。 橙色の夕日に一瞬だけ反射して浮かび上がる柄は、雄々しく獰猛な一頭の――虎。 「…と、ら……?」 虎だったか?佳威の浴衣に付いていたのは。 …いや、違うだろ。虎じゃない。 だって佳威が言ってたのは、 『なんでもかんでも龍付けときゃいいと思いやがって…。俺もこいつらくらい普通のが良かったわ』 龍。…そうだ、龍だ。 佳威の着ていた浴衣には肩に登る龍がいたんだ。ならば何故、目の前の佳威の浴衣に虎が居る?いつの間にか着替えた? そんなわけあるか。 現実的に考えて無理だ。 俺の小さな呟きに下に居る佳威だと思っていた男の動きが止まり、ゆっくりとこちらを見上げた。 「君、失格」 「!?」 突然変わる声質にギョッとする。 佳威の声じゃない。似てはいるものの佳威とは違うとすぐ分かる。声質的には佳威よりほんの少し高いだろうか。 そもそも佳威は俺のことを「君」だなんて呼ばない。

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