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話を聞けばどうやら全て弟が好き過ぎる故の行動だったようで、まず突如現れた俺をΩかどうか確認をしたかった。さらにΩであれば弟に近寄らせるに値する人間かどうか、無害であるか、佳威に対して誠実な愛を持っているのか試したかったとのこと。 結果別人だとは気付けず、Ωであることもバレ、まんまと全ての罠に引っ掛かった俺に「こいつダメだ」「佳威のことをちゃんと見てない。弟は騙されてる」と直結したようで…まあ後は起こった通りである。 俺、こっちに引っ越して来てから面白いくらいにバレまくってるな。バレる相手がそこまで悪い人じゃないのが救いだけど気を引き締めないと。 「心配掛けてごめん。俺も、お兄さんのこと佳威だって疑わなくて…」 「君にお兄さんと呼ばれる筋合いはない」 「おい、兄貴」 ケーイチに話し掛けたつもりだったのに、お兄さんが振り返り、手厳しく言い捨てられる。 ではお兄さんと呼ばずして何と呼べばいいのか。顔に出ていたのか、お兄さんは考える素振りを見せた。 「そうだな。じゃあ若がし…」 「組のもんじゃねえのに若頭なんて呼ばせるとか言わねえよな?頭湧いてんのか?」 「………僕の名前は瑠威だ」 「…じ、じゃあ、瑠威さんって呼べばいいですか」 「仕方ないな」 「………」 組は兄貴が継ぐと聞いていたから佳威にお兄さんが居るのは知っていたが、まさかここまでブラコンでそっくりなお兄さんがいるとは思わなかった。 俺の首を掴んだあの瞬間とあの視線を思い返せば堅気ではないと頷けるが、佳威に怒られている姿はまるで言い訳を繰り返す子供のよう。どちらが兄で弟なのか分からない。 俺の知る身近な男兄弟って渥と有紀だけだったから、大体がもっとこうサバサバした関係なのかと思っていた。 …そういえば、あいつの言ってた反感を買うって、瑠威さんのことだったんだろうか。 佳威と仲良いようには思えないけど、あいつ無駄に情報網凄そうだし桐根で一緒だったから知ってたとか? どちらにしても今のところ瑠威さんしかいないよな…反感買ってるの。 「しかも、なんだよその浴衣。そんなんもあったのか?」 「佳威はきっとそれを選ぶと思って。お揃いで作っておいた」 「…ありえねえだろ…んで睦人が居なかったら、今年はそれで俺達と縁日行くつもりだったのかよ」 「ペアルックですね」 「そう、ペアルックだ。さすがハジメは頭の回転が早い」 「回転…?回転の問題…?」 一人ツッコミを入れるのを我慢できずに小さく漏らすと、瑠威さんが再びこちらに視線を向けた。 「何か文句が?」 「い、いえ…なにもないです。なにも」 うぅ、いちいち怖いんだけどこの人。

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