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何がどうなったのか。 突然立ち上がった有紀に驚き後ろへ下がろうとした片足に、側にあったローテーブルの脚がぶつかった。 「あ」 必然と片足が浮いてふらついた俺の腰を、有紀の腕が支えて引いてくれる。 助けてくれた、と思ったのも束の間。 何故か俺の体は床の上だった。 数秒前までは見下ろしていた筈の顔を、今は見上げている。 俺、前にもこんなことなかったっけ。 「リクが悪いんだよ? のこのこ俺の前に現れて、こんな近くに寄ってきて、俺がリクのことそういう目で見てるって知ってる癖に」 両手を押さえつけられ身動きが取れない。 どうやら俺はまた間違った選択肢を選んでしまったらしい。 「あの、待て……なんでそうなるんだよ。こんなこと言うのもなんだけど、さっきの奴とし、してたんだろ?」 「してないよぉ。しようとしたらリクが来た。だから帰した」 やっぱり中から見てたんだな。 なんて口には出さず有紀を見つめる。そんなことは今どうだっていい。 少しでも冷静になって欲しくて、こちらも冷静に落ち着いて話しかける。正直心臓はばくばくだ。 「さっきも佳威クンと楽しそうにご飯食べてたよねぇ。やっぱり気になってさー。ちょっとだけ見に行ったんだけど、気付いたでしょ? ほんっとイライラしてどうにかなりそうだった!」 有紀が首元に近付いてきて、唇を沿わせた。くすぐったさに身をよじる。 気付いたでしょってことは、俺が尾行してたことももしかしてバレバレだった? 「……っ俺、誘ったよな? 来ないかって」 「逆に聞くけど、リクが他のαと仲良くしてる姿なんか俺が見たいと思ってんの? どっちが言い出したのか知らないけど、佳威クンも意味分かんない。ただの友達みたいに接して。狙ってるくせに。リクのこと独り占めしたいくせに。渥も佳威クンも、なんでそんな余裕なわけ?」 言葉は全て苛立ちを隠すことなく棘がある。だが、そんなことを俺に言われても困る。 渥が何を思って佳威がどう考えているのかなんて分からない。有紀の言葉だって憶測でしかない。 誰も「好きだ」とは口にしていないのだから。 だけど、確かに有紀は俺のことを「好きだ」と言った。

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