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親友がαだった、通常喜ばしいことである筈だが俺がショックを受けたのには理由があった。 αだけに特化した学校がある。 高校にあがる前迄にその学校に入り、特殊な生態を学ぶ。 国からの金が入る為、入学金、授業料などは無償。ただひとつの入学条件は、10歳以降での血液検査の実施の有無、その結果でのαであるという証ただそれだけだ。 あいつが口にした桐根学園こそがαに特化した学校だった。 エリート育成の基盤となる場所。 その身の活かし方に始まり、経営学や心理学などを学ぶ。 企業や国のトップに立つに相応しい人間へとなるべく、全国からαだと分かった時点で強制入学が余儀なくされるのだ。 そして、あいつも例外でなく桐根学園への転校が決まり俺たちの「お別れ」が決定された。 今年の血液検査でのα結果はあいつだけだったらしく、先生もあいつの親も、なぜか俺の親もものすごく喜んで結果が分かった晩は飲めや踊れやのお祭り騒ぎだった。 そりゃそうだ。自分の子がαだと分かればその子の将来は安泰、栄えある未来が必ず待っている。 「期待してるぞ」 そんな風に父親に肩を叩かれるあいつの姿が容易に想像できた。 実際に見た訳じゃない。だって俺は病み上がりを理由に行かなかったから。 次の日にあいつの口から転校宣言が出た。そういう経緯である。ショック以外の何者でもない。まさか1週間後なんていう早さで転校していくとは思わなかったが…。 あいつが去った数日後、俺は母に連れられて病院に直接血液検査を行いに向かった。 「ちょっとチクっとするけど我慢してね」 白衣を着た30代後半ぐらいの男が俺に注射器を刺す。とても痛かったが、これでやっと自分の結果がわかる。子供心に自分もあいつと同じαで、その結果さえ出れば同じ桐根学園に行ける、あいつとまた一緒に遊ぶことができるなんていう淡い期待を抱いていた。 検査結果はすぐに郵送されてきた。 「αだったらいいわね~。でもあんたは多分βよ、β。お父さんとお母さんと一緒。…なによ、怒ることないじゃない。それにもしΩだったとしても将来あんたの子供が見れると思うと…」 母が満面の笑みを浮かべる。 女の子が欲しかったらしい母はそういうのが嬉しいみたいだったが、俺は冗談じゃない!と思った。 緊張してドキドキしながら、真っ白な厚手の封筒の封を切り、カサ…と中にたった1枚入った書類をゆっくり開いた――

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