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また言い合う流れになりそうだったので俺は慌てて2人の視線を両手で遮って叫んだ。 2人もそれで気が逸れたみたいで、ケーイチは再びご飯を食べだした。佳威は食べ終わってしまって手持ち無沙汰なようで、携帯を触る。 「そういや睦人はなんでこの学校に来ることになったんだ?」 「あー…、俺は父親の仕事の都合。こっちに転勤になって」 俺に聞いてきながら、佳威は携帯は?とジェスチャーする。 ピンと来た俺はすぐに携帯を取り出して今やメインの連絡手段であるSNSアプリを開いた。 「ん、俺も」 ケーイチも気付いたようですぐにズボンから携帯を取り出してきた。 「でも、ここの編入試験大変だったんじゃない?入ってきた子に聞いたけど、すごい難しかったって言ってたよ」 「あ~、…そう、だったような。まあでもそんなこともなかったような」 「えーなに?もう忘れたの?睦人こそ実は頭いいですっていうオチ?」 ケーイチが面白そうに笑った。ケーイチの笑顔ってほんと優しそうで安心するな~ 「いやいやいや!それは無い!ありえない!俺の脳みそなんて平凡あるいはそれ以下だと認識しといて欲しい!」 「そこまで言う?」 自嘲発言が面白かったのか声に出して笑うケーイチ。 そこに手元の携帯が震えて、画面に2人の連絡先が無事交換されたことが表示されていた。 「あ、きたきた!2人ともありがとう!」 「いつでも連絡してこいよ」 「そうする!」 ニッと笑う佳威に、同じように笑顔で返した。 それにしても転校初日から連絡先交換できる友達ができて良かった。色々と噂の多いこの学校で、友達ができるか不安だったが杞憂に終わったみたいで安心する。 1人は極道の息子(次男)で、1人は学年首席というなかなか個性の強い面々だが、転入した俺に積極的に声を掛けてくれたんだから凄く優しい奴らだ。 昔から友達には恵まれる方なのかもしれない。 ――あいつ元気にやってんのかな… 友達、と考えるたびに思い出す幼馴染の存在。 父親の転勤がキッカケで必然的に俺も一緒に転校することになったが、引っ越し先のここでも高校は他にもいっぱいあった。 でも、俺はここしかない、と思ったんだ。 多分あいつはこの学校にいる。 ストーカーみたいな思考に自分でもちょっと引くけど、どうせなら親友のあいつにまた会いたい。ただこの高校は県内最大級クラスのマンモス校だから、どこのクラスなのかまだ分からなかった。 先生に聞くのがいちばんてっとり早そうだが、少々事情があってそれはできれば最後の手段にしたい。 さて、どうしたものか。

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