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まさに異様という言葉がぴったりの光景だ。 「彼らはああやって、Ωを捕まえてる…ていうと言葉は悪いけど、まあそんな感じでΩを見つけてはグループに入れて囲ってしまうんだ」 捕まえる?囲う? 俺の怪訝そうな顔を見てケーイチは言葉を続ける。 「知ってると思うけどαとΩの子供なら高確率でαが産まれるからね。エリートの血を繋ぐためΩの結婚相手を見つけにこの学校にくるαも多いって言うし…。それにああやってΩを見せびらかすように囲って歩くことで他のαやβから狙われないようにしてるみたい。所有物のアピールみたいだよね」 「なんだよそれ…なんか変だろ、そんなの。Ωの奴もなんでわざわざそんなのに従ってるんだ」 「Ωにとっても、αとの将来を決められることは良いことだからじゃないかな。Ω性の人達はなかなか社会的に認められない厳しい世界だけど、αとの子を成せばそれだけで認められるし」 「……それはそうだけど」 そうなんだけど…そこに彼らの気持ちはあるんだろうか…。そんな乙女のような事を考えてしまった。 「チッ」 ずっと鼻を抑えていた佳威が眉間にしわを寄せて舌打ちをする。 そうやって怖い顔してると、顔が良いだけにめちゃくちゃ怖い。ヤのつく職業の息子なのをふと思い出した。 「嫁を見つけるのも囲うのも勝手にすりゃいいけどよ、ああやっていちいちアピールしてくんのが鬱陶しいんだよ。静かにヤッてろっつーの」 「ヤ…」 思春期真っ盛りの俺は友人の言葉に絶句する。 「それはそうとどうなの?佳威。今回も気になる匂いはないの?」 ケーイチが特に気にした様子もなく佳威の方を向いた。 「気になる匂いって?」 「なんかねー、佳威はΩのフェロモン全部がいい匂いになるわけじゃないらしくて。タイプがあるみたいに好きなフェロモンがあるみたい」 「そんなαいるんだ…」 初耳だ。 俺の知ってる知識の限りでは、αはΩのフェロモンを嗅ぐと見境なしに惹きつけられてしまうようだったが。 「いねえな。纏わりつくみたいな濃い匂いしかしねえ。てかもういいだろ。さっさと行こうぜ」 ガタッと席を立つ佳威。心なしか気分が悪そうだ。 そりゃそうだよな、自分の好きじゃない香りが今部屋いっぱいに香ってるわけだから、気持ち悪くもなるよなあ…。 「佳威、食器、片しておくから先に戻ってろよ。顔色悪いぞ」 「うん、そうだね。じゃあ、俺がみんなの持ってくから睦人は佳威に付き添ってあげて貰える?」 「え?や、寧ろ俺が持ってくからケーイチついてったほうが…」 俺がついてくよりよっぽと心強いと思うんだけど。という言葉を言い切る前にケーイチがさっさと3人分を纏めて手に持つ。 「じゃ、睦人よろしく。すぐに追いつくから」 「え、あ、おい!」 言うが早いかケーイチはさっさと歩いて行ってしまった。

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