15 / 289

14

「俺はβだよ」 「…だよな」 佳威の瞳が一瞬揺れたような気がした。 「――おーい!」 ハッと声のした方を向くと俺たちが出てきた場所から、ケーイチが手を振っていた。 片付け終わったんだ。俺も手を振り返し、ケーイチはすぐに走ってこちらに向かってきた。 「お待たせ。ていうかここで待っててくれたんだね。教室で良かったのに。ありがとう」 「ケーイチの方こそ片付けごめんな、ありがと」 「気にしないで。それよりフェロモンにやられた光田クンは元気になった?」 「うっせ。もうだいぶ良くなった。…悪かったな」 「いーえ。ところで2人で何話してたの?」 ケーイチが首を傾げる。 「あー、佳威の番探しの話と…」 「おい、俺は別に探してるわけじゃなくて、親父たちがうるせーってだけの話だからな!」 「へえ、佳威話したんだ…いいよねえ、番契約。αの特権だよね~」 「そうそう、んであとは俺がβだっていう話」 「え?」 「え?」 ケーイチが何言ってんだこいつ、みたいな顔をして見てくるので、俺も思わず同じような顔で見つめ返してしまった。 「な、なんだよ。俺なんか変なこと言ったか?」 「睦人、βなの?」 「そうだよ。どう見てもαじゃないしβじゃん。これでも昔はαだと夢見てたんだからあんまり言ってくれるなよ」 「…あー…うん、そっか。そうなんだ。じゃあ俺と一緒だね」 なんだか意味深に言葉を濁すとケーイチは「じゃあそろそろ戻ろうか!」と教室に向かって歩き出した。 「ケーイチどうしたんだろ…変な奴」 「あいつはいっつも変だろ」 多分、そう思ってるのはお前だけだ。俺会ったの今日が初めてだし。 もうすっかり顔色の良さそうな佳威に、心の中で突っ込みを入れて俺も立ち上がって歩き出した。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!