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佳威にもよく腕を回されるが、佳威の時はさほど嫌ではない。普通に友達に対してのスキンシップだと感じ取れるが、矢田のこれは少し違う気がした。 もちろん佳威の匂いとも全然違う。 「睦人、君は佳威の何なんだ?」 「何って…友達だけど」 「本当に?」 「嘘ついてどうすんだよ。てか離れろよ!」 何だか嫌な気配を感じて矢田の肩を押す。その瞬間視界が回って矢田の顔が正面に来ていた。 一瞬何が起きたのか分からず、押し倒された、と気付いたのは数秒後だった。 矢田の肩越しに天井が見える。 「は?え…いや…なに、」 「…君は佳威にどうやって取り入ったんだ?男な上にβで顔も平凡だ…となるとやはり、金か?」 「いっ意味わかんねえよ…!取り入るとか…普通に友達だから!いいからどけって!!」 ジタバタするがあまりの体格差に矢田の体はビクともしなかった。 「…ミキもあれに惚れたらしい。何故だ?同じαなのに、どうしてあちらを選ぶ?女の喜ばせ方なら俺の方がうまい」 突然、佳威のことをあれと呼ぶ矢田。今までの雰囲気がガラリと変わって冷たい表情で俺を見下ろす。まるで見下しているかのような目にぶるりと体が震えた。 「…それとも…実は君の体が実はすごくいいとか…?」 低い声で呟かれて、矢田の顔がスッと首元に寄せられる。 あまりの近さと気持ち悪さに、俺は思わず息を止めた。 自分のものではない人間の温かい息が首にかかる。そして耳元で矢田の少し困惑したような声が響いた。 「………ん?………君、ほんとにβか?」 その言葉を聞いた瞬間、全身が毛羽立った。 ドンドンドンドン!! ピンポーンピンポンピンポン 突然扉の向こうから怒鳴り声と、けたたましくチャイムを連打する音が聞こえてきた。 矢田の俺にかけていた拘束が緩まる。 「おい!いるんだろ!?矢田ァ!!さっさと開けろゴルァ!!」 かなり苛立った様子のその声にホッと安堵の息を漏らしてしまった。 「佳威…」 何故怒っているのかは分からなかったが、扉の向こうで怒鳴り散らしてるのは佳威の声だった。 無意識に体の力を抜いた俺をちらりと矢田が見る。 「…………君のピンチを察したのかな」 「…はあ?」 「あーー!もうベタベタ触んな!!」 扉の向こうで佳威が誰かに何かを言っている。何か言い争う声がしているが、相手は女の子みたいだ。 「おい!矢田!ミキちゃんとやらがお前と仲直りしたいっつってんぞ!!」 「!!!」 今まで余裕ぶっこいていた矢田がミキちゃんという単語に転げ落ちるようにソファーから離れた。 俺も慌ててソファーから離れ距離を置こうとしたが、その必要も無く矢田はすでに扉の前でガチャガチャ鍵を開けているところだった。

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