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男にとってデリケートな悪口をボソッと呟かれて思わずイラッとした。 「そんなの今関係無いだろ!!」 「この女で卒業したら?」 「はあ!?意味わかんねーし!」 とことん上から目線の渥。ミキちゃんにも聞こえたのか、手をバタバタさせて怒った。 「Ωの男となんて死んでもありえないわよ!なんの生産性もないし!」 生産性がないとまで言われてさすがの俺も落ち込む。確かに男性Ωと女性Ωではお互いに何一つ良いことはない。もちろん分かっている。 だけどつい先程までタイプだ!可愛い!と思っていた女の子にここまで言われてしまうと、もはや苦手意識しかない。 「こいつがΩ?…ハッ。こんな可愛げの欠片もないようなやつがΩなわけあるか」 今、鼻で笑ったよね? この人俺のこと鼻で笑ったよね? 「で、でも…春行くんが…」 「矢田の言うことはほとんど適当だ。それはお前が一番よく分かってるんじゃないのか」 「……」 ミキちゃんが黙り込む。どうやら思い当たる節があるようだ。 まだ2回しか会ったことのない俺ですら、きっとそうだろうな…と頷く相手なだけに、番候補として付き合っていたミキちゃんは思い当たる節がありすぎるんじゃないだろうか。 「分かったら、矢田のところへ帰れ。こんなやつ相手にするだけ無駄だ。それこそなんの生産性もない」 ねえ…さっきから、この人助けに来てくれたのかと思ったら俺のこと貶しまくってるよね。ドスドス言葉の刃が胸に突き刺さるんだけど。なんのガードもできてないよ?俺。 しかし口を挟む勇気も無く、ジロリと渥を睨んどいた。 「春行くんとは終わったの…!ミキは佳威くんと番になるの…!」 付き合うから番になるにレベルアップしている。相手は同じαなのに、やはり矢田が変態だから嫌気がさしたのかな。あ、これ個人の偏った見解ね。 「光田?…ああ。やめとけ、あれこそお前なんかの手に負える男じゃない」 「…….どうして、そん、な…こと………」 ミキちゃんが言いながらストンと地面に座り込んだ。肩で息をするように呼吸が荒い。 「ミキちゃん…!?」 俺は思わず駆け出しそうになったが、それより一瞬早く渥が俺の肩を掴んだ。 「行くな。誘発されるぞ」 誘発されるって何が?どういう意味?と聞く前に渥がミキちゃんの元へ歩いていく。 しゃがみこむミキちゃんのすぐ近くで、同じようにしゃがみ込んだ渥はミキちゃんの華奢な顎を掴んで上を向かせた。 ミキちゃんは渥を、至近距離でとろ~んと蕩け切った瞳で見つめた。 「くろさ、わ、くん…、おねがい…」 「なんだ」 「ミキを………抱いて………?」 えええええええーーーー!?

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