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「たいして今と変わんねえよ。ただαだらけのガッコだったから、媚びる奴だけじゃなくて敵対視してるやつも居たっていうくらい」 「へ~、あの黒澤くんに敵対心燃やすなんて随分自分に自信のある子たちが居たんだね」 ケーイチの言葉に頷きながら佳威は最後の一個だった餃子を口に入れた。 「しかもあいつのやべえところは、その敵対視してる奴らまでいつの間にか手懐けてんだよな」 何をしたのか気になる反面、あまり想像したくない複雑な気分だ。桐根学園での日々が原因で渥の性格はねじ曲がってしまったんだろうか。 …ありえる。 「αは色々大変だねえ。βだからそういうのとは無縁だけどさ」 ケーイチがのんびり言う。 それに俺も頷いた。 「面倒くせえだけだよ」 言葉通り心底面倒くさそうに呟く佳威。 それから残っていた水をグイッと飲み干すと「食ったしそろそろ出るか」と席を立ったので、俺達も合わせて立ち上がった。 ーーー 「ただいま~」 二人と別れたあと家に帰ると、既に父親も母親も帰ってきているようで家の中から楽しそうな笑い声が聞こえた。 父さん珍しく早いなー、なんて思いながらリビングにひょこっと顔を出す。いつも通りお茶でも飲もうかと足を踏み入れた俺だったが、リビングに広がる光景にギョッとしてしまった。 「あっ、あああああ渥ーーー!!?」 「うわ!?びっくりした!…て、なんだりっちゃんか~!おかえり」 「遅かったじゃない!渥くん待ってくれてたのよ」 もう既にホロ酔い気味の父親は嬉しそうに。キッチンに立っていた母親は俺を見るや否や非難めいた声を上げた。 そして、父親の前には――私服姿の渥が座っていた。 テーブルの上にはいつも以上に豪華な晩御飯が並べられていて、きっと母親が久しぶりの渥にテンションがあがって作ったんだとすぐに分かった。 「た、だい、ま……」 なんでまた渥が俺の家に…そして何故楽しそうに夕飯を食べているんだ…!? 今日ちょっと渥との遭遇率高すぎじゃない!? 俺があわあわと驚きのあまり口をパクパクさせていると、渥が猫のように目を半月に細めて笑った。 「やっぱりビックリしてる。ごめんな睦人、突然来て」 「………はい?」

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