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小さい頃って何故かカルピス好きなんだよな。大きくなってからは飲む機会がグンと減ってしまったが久しぶりに飲む爽やかな甘みが体に染み込んでいく気がする。美味い。
懐かしい味わいに舌鼓を打つ俺の横に、近距離で腰掛けた有紀は両足を抱え込みこちらに体を向けた。体育座りのような格好だ。
「リクーほんと久しぶりだね!全然変わってないから俺すぐ分かったよ?」
「全然変わってないことはないだろ。七年も経ってんだぞ?」
「確かにあの頃よりは大きくなったけど…ん?でも俺よりは小さくなってね?」
「それは……成長には個人のスピードというものがあってだな…」
痛いところを平気で突いてくる有紀に言葉が詰まる。
「まあいいや!それよりそれより!リク!」
俺が何か上手い返しは無いかと頭を捻っていたというのに、あっという間に話題を変えた有紀はキラキラと目を輝かせながら前のめりになった。
「リクはバース検査なんだった!?俺はさっきも言ったけどαだよ!」
突然の質問に飲んでいたカルピスを吹き出しそうになった。
なんとかすんでのところで抑えて、グラスを机に置く。
「きゅ、急だな…」
「だって…!ほんとはあの場で聞きたかったんだけど、佳威クンとか周りにも人いっぱい居たし聞いたらダメかなあ~と思って我慢したんだよー!」
えらいでしょ?と言わんばかりの顔をする有紀に、そこはよく空気を読んだと褒めてやりたいが、それはそれ、これはこれだ。
「ねー!リクー!教えて??」
首を傾げてこちらを見つめる有紀。
またもや輝きのエフェクトの幻覚が見える…軽そうな見た目に反して純粋そうな瞳に思わず本当のことを言いそうになった。
有紀は昔からの知り合いだし、別にバレたっていいのかもしれないが…悩むところだ。
まあでも、一応無難にやり過ごすか。
「俺はふつーにβだったよ」
この学校に来てから何度口にしたか分からないセリフを言った途端に、分かりやすく有紀の表情が曇った。
「βなの?」
「うん」
「本当に?」
「う、うん」
「ってことは、番になれないってこと?」
「番?…まあ、そうだな。番はαとΩにしかできない契約だからな」
ん?ちょっと待て、どうしてそういう方向に話が行くんだ?
「………」
「有紀?」
今までテンション高く喋っていたのに、一気に静かになり俯き何も喋らなくなってしまった有紀。
不思議に思って顔を覗き込もうとすると、腕を引かれた。
「わっ、ちょ…!?」
ぐんっと体が有紀の方に倒れそうになって、咄嗟にもう片方の手で体にブレーキをかける。
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