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第7話
「やだー、もう足痛い!」
「すぐ着くって言ったのに先生の嘘つきー!」
「キャッ、虫ぃ~~~!」
「…………賑やかだな」
昼間だというのに空には雲がかかり、辺りは少しだけ薄暗い。雨こそ降らないものの、肌に纏わり付くような湿気を感じた。
だが夏だというのに曇っているおかげで体感温度はさほど高くない。むしろラッキーだと思った方がいいくらいだ。
なのに、俺たちのグループではブーイングの嵐が起きていた。
「お前ら文句言うなー!あと少しで野外炊飯場に着くから!あ、水分補給は各自しっかりしろよー!」
前の方で体育教師の元気な声が飛んでくる。もう少しで着くという情報に周りの女の子たちの気持ちが少しだけ和らいだのを感じ取れた。
そう、今日はお待ちかねのフレンドキャンプの日だ。
たくさんの大型バスで20分ほどかけてやってきたのは我が校が所持しているらしい清波山 である。
山を登るということで、俺たちは皆いつもの制服ではなく、例の無駄にスタイリッシュな体操着だ。男子は半袖に半ズボンだったり長ズボンだったりそれぞれ好きな方を履いている。
バスから降りたあと、まず振り分けられていたグループに別れ、グループ番号と同じ順番で山に入った。
野外炊飯場はすぐだと言われ15分程歩いたあたりで、同じグループの女子たちがブーブー言い出したのだ。
確かに結構急な傾斜ではあるが、俺としてはまだ15分しか歩いてないし、曇ってるからそんな暑くないのでそんな言うほどか?と思ってしまったが、男女じゃ体力の差もあるだろうし仕方ないのかも、と思い直す。
小さいことを気にしていてはダメだ。
そんなことではモテない。何故ならば…
「そういえばリクー、昨日電話したのになんででてくんなかったのー?」
ただでさえ、隣で汗ひとつかかずにのんびりそんなことを言ってくるモテ男がいて、平凡な俺はさらに霞んでしまうのだから。
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