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女の子に気を遣わせないスマートな対応に、ユキちゃんは漫画だったら目がハートになっているような熱い視線で有紀を見つめていた。 「有紀くん、これ使って?」 同じように頬を染めながら、ユキちゃんの傍にいた女の子がピンク色のタオルを差し出す。キャラクターものでもちゃんとタオル持ってる子は女子力高いな〜。 「あー!アリガト~!」 嬉しそうな顔で差し出されたタオルを受け取るとユキちゃんの濡れた手を優しく押さえる。 水気の無くなった手をマジマジと見つめ「刺さってはないみたいー」と笑った。 「絆創膏いる?あるよ」 ハプニングに対応する人間が現れたことで安心したのか何組かのグループが俺達を抜いていった。しかし俺はもちろんケーイチも同じグループの子達も同じ場所でとどまっていて、ケーイチが有紀達に近寄ってそう言った。 絆創膏持ってるなんて、さすがケーイチだ。タオルを持ってる女の子より上をいく女子力。後でソーイングセット持ってないか聞いてみよう。 「すみません…いいんですか?」 ユキちゃんが申し訳なさそうにケーイチを見上げた。ケーイチは後輩であるユキちゃんを安心させるような笑顔を浮かべて、カバンを開ける。 「もちろんだよ、ちょっと待ってね。…はい、どーぞ」 「ありがと!渓センパイ!」 何故か有紀が絆創膏を受け取って、そのままピリピリと捲る。そして自らユキちゃんの指に貼った。 「オッケー!できたよ!もう大丈夫?」 「うん…!ありがとう、有紀くん」 ………罪な男だ。 こんなことされてときめかない女の子は居ないんじゃないかと思う。俺も有紀のことを少し見直したくらいだし。 だが、それよりも視界の端に写る同じグループの女の子たちのユキちゃんを見る顔がかなり怖くて直視できない。 この前の体育館で同じ顔を向けられたのを思い出し、寒気を感じた。 「じゃあ、行こっか」 ケーイチがそう声を掛けると、鬼の形相をしてた女の子達の表情が元に戻り、ゆるゆると動き出す。 有紀はユキちゃんに何かを耳打ちされ、それに笑い返していた。何を言っているのかは分からなかったが、有紀はユキちゃんの傍を離れて俺の元へ戻ってきた。 「有紀、俺はお前を見直したぞ」 「えー!ほんと??やったあ」 褒めてやると素直に嬉しそうな表情を浮かべた有紀に笑い返し、俺たちももう少しで着くという野外炊飯場に歩き出した。

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