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07
「リクも男の子だよね?気持ちいいことしたくない?俺、リクのことすっごく気持ちよく出来ると思うんだけどなあ~」
「待て待て待て待て。有紀。待ちなさい。今何時だ?」
「んー、えー。…11時20、あ、21分!」
「うん、まだ午前中だな。それは午前中のこんな明るい時間に話す話じゃないだろ!」
「曇ってるけど」
「揚げ足を取るんじゃない」
ビシッと叱ると、有紀が苦い顔する。無意識か意識してるのか口がアヒル口だ。
「うえ~、俺このまんまじゃ欲求不満で死んじゃう~」
チャラ過ぎる発言にドン引きしていると、後ろからポンと肩を叩かれた。
「?…うわっ」
後ろを振り向くと、見たことのあるガタイの良い生徒か立っていた。ぴちぴちとまでは行かないが体操服の二の腕につく筋肉がパンパンだ。
なんだか久しぶりの顔だな。
別に見たくもなかったけど。
「矢田…とミ、ミキちゃん…っ」
「うわ、とは酷い言い様だな。久しぶりの再会だというのに、あんまりじゃないか。睦人」
「…睦人って呼ぶな」
立っていたのはインテリ眼鏡のくせに女の子大好きΩ大好きな、めちゃくちゃ筋肉質の矢田が立っていた。最初は矢田の影で見えなかったが、隣には今にも折れてしまいそうな可憐な美少女ミキちゃんも立っている。
そして俺は矢田よりもミキちゃんの姿にビクついてしてしまった。
しかしミキちゃんはというと、分かりやすい態度を取ってしまった俺を見ても何故か今日は睨み付けてこない。
それどころかふんわり花のように微笑んでいて俺は懲りもせずにドキッとしてしまう。
「あれー?誰?リクの知り合い?」
知らない顔に有紀が興味を示して、身を乗り出してくる。気付いて矢田が声を上げた。
「おや、君は黒澤の弟じゃないか。…随分と凄いのを連れてるんだな」
「俺のこと知ってんの?……あ、アンタαか」
「ああ、そうだ。俺も桐根に居たからな」
「ふーーーん」
有紀が相槌を打つが多分こいつ全然ピンと来てない。覚えてないんだろうな。
「有紀。俺は別にいいけど、一応こいつ先輩だからな」
本当にどうでもいいけど、念の為に言っておいた。それにアッという顔をして有紀が俺を見る。
「マジ?敬語使う?もう遅い?」
「同じαだ。気にすることはない。それよりも、今日はひとつ報告があってきたんだ」
「報告?」
矢田が俺に報告するようなことなどあっただろうか。
「ミキ」
矢田がぐいと隣に居たミキちゃんの肩を抱き、引き寄せる。
こいつ、前もこうやってミキちゃんを紹介してきたな。いちいちスキンシップが激しい…というかやっぱり見せつけてるんだろうか。くそう。
「実はだな、俺とミキは番になったんだ。あの時色々と迷惑をかけたようだから、一応伝えておこうかと思ってね」
ミキちゃんを片腕で抱き締めながら、矢田は満面の笑みで微笑んだ。
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