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「雨降ったら、キャンプファイヤーとやらは中止、だよな?」
「うん、そうだろうね。楽しみだった?」
「んー…実は結構楽しみだったかも。俺見たことないからさ。目の前で大きな炎見れるとかちょっと興味ある」
「見たことないんだ!意外だね。でもまあ雨さえ降らなければやるだろうし、降らないことを祈ろっか」
ケーイチが面白そうに笑いながら言うので、強く頷く。
「てか、この後って何するんだ?キャンプファイヤーまで結構時間あるよな?」
「15時まで自由時間だよ。近くに湖があるからそこで遊んだり山散策したり、休みたかったらコテージに行くのもありかな。15時からはまたグループごとに別れてレクリエーションがあるみたいだよ」
「へえ~、じゃあとりあえずは自由にできるってことか。ケーイチはどーするんだ?」
「そうだなあ…」
ケーイチが皿を洗っていた手を止め、考えるように遠くを見つめる。
しかし、視線の先に何かを見つけたのか、話は中断された。
「ねえ…睦人。佳威が女の子連れて来てる」
「…え!?どこどこ!?」
佳威が女の子だって!?
勢いよく顔を向けると、確かにそこにはこちらに向かって歩いてくる佳威と――知らない女の子が隣に立っていた。
「あれ…誰だろ」
「うーん、俺も見たことない子だ。一年生かな」
俺が言うのもなんだが、佳威が俺達以外と歩いているなんて意外過ぎるし違和感を覚える。どうしたんだろう。
不思議に思いながらも佳威に向かって手を振ると、手を上げて反応を返してくれた。
「お前らまだ片付けしてんのか」
「もう終わるとこだよ」
来て早々に呆れた顔をする佳威に、ケーイチが言い返しながら最後のお皿を洗い流しサッと水を切る。そのまま隣で拭いていた山下くんに手渡した。
ちなみに女の子はほとんど手伝ってくれず有紀と楽しくお喋り中だ。まあそうなるだろうなとは思っていたので別に腹も立たないが、有紀は別だ。先輩にやらせるなんてとんでもない。後で説教してやらねば。
「というか、佳威。その子は?」
ケーイチが隣に居た女の子を見ながら言う。隣に立っていた子はとても可愛い子だった。
黒髪ロングで、ぽてっとした唇が魅力的な俗に言う清楚系女子。ミキちゃん程折れそうに細いわけではなく、かといってぽっちゃりしている訳でもない。男が好きな程よい肉付きをしている。
あと服の上から見ても…む、胸がかなり大きくて思わずチラチラと見てしまった。何カップあるんだろ。
「………」
「!」
邪な視線の俺に気付いたのか、ケーイチがやや冷めた目をこちらに向けて来ていた。
…男の性だから仕方ないんだよ!見ちゃうんだよ!童貞だからな!そんな目で見ないでくれ!
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