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佳威が俺の頬に張り付く髪の毛を、驚くほど優しい手付きで耳にかけてくれた。骨張った指が俺の耳を触れる。 「抑制剤、飲まなくていいのかよ」 「飲まなきゃ…飲まなきゃ、駄目だ…」 「…持ってんのか」 「ん、…財布の中に入ってる…」 言いながら俺は財布を取り出さない。佳威に腕を回したまま肩口に顔を埋めた。 すると、佳威が俺のケツポケットに入っていた財布を取り出し何やらゴソゴソしたあと再びポケットに重みが戻った。 「睦人、これだろ?」 「……うん」 少しだけ顔を上げて確認すると、佳威の手には俺がまだ飲んだことのない抑制剤があった。万が一の為に財布に入れておいたやつだ。 「飲むもんねえけど、何も無くても飲めんのか?」 「……たぶん…」 「…なんか取ってきてやるから待っとけ」 「待って…!!行かないでくれ!ここに居てよ、佳威!」 「睦人」 離れかけた体を繋ぎとめようと腕に力を込めて引き寄せた。 息が上がる。熱い吐息が口から漏れた。 「……佳威、おれのそばに、いて…」 「…どこで覚えんだよ、んなの」 佳威が呟いて、見上げた先の瞳が熱に濡れる。 いつも見ている友人としての顔ではなく、見るのが少し怖いような俺の知らない別の顔。 そしてスル、と俺のTシャツの中に大きな手が入り込んで来た。直に触れられる肌がゾクゾクと歓喜するのが分かる。 ああ、やっと触ってくれる―― 心の何処かで、蕩けたように気持ちが溢れた。 「相変わらず細いな」 「んっ、……はぁ…」 佳威の手が腰を掴む。グッと力を込められて、お腹の奥がきゅんとした。そのまま手が上に上がってきて胸に触れる。平で固い胸だ。数時間前に見た川北さんのような魅力を感じる豊満で柔らかなものではない。 「あ、」 グリッと佳威の手が少し乱暴に触れた。 「硬くなってる。こんなんでも感じんのか」 「う………そ、そんなこと言うな、よ」 佳威が意地悪そうに笑いながら少しカサついた指で敏感になった突起を弾いた。ただそれだけなのにビリビリと快感が背中を走る。 「んっ」 「舐めていい?」 「っ、…え、と……それは………」 さすがに恥ずかしくて顔が赤くなる。そんな俺を見てイエスととったのか佳威は顔を落とした。 ヌルリと熱い舌が胸を這う。雨のせいで冷えていく体に佳威の舌の熱さが際立って感じられた。初めての感覚に戸惑いながらも、下半身が痛いくらいに勃起しているのが分かって佳威の腕を強く掴む。 舌先で弄ぶようにイジられ、そのままガリッと歯を立てられて体がビクビクと震えた。痛みと甘さを含んだ刺激がダイレクトに下半身に走る。 「あ、ァッ……、佳威…!」 「…お前さ、ちょっとMなとこあんだな」 「そ、んなことない…っ……」 「まあいいけど」 言いながら佳威が俺の首筋に顔を寄せる。手が俺の腹を掠め、躊躇いなくズボンの中に入り込んできた。

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