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「睦人お腹減ったよね?」 「……そう言われたらちょっと腹減ったかも。でもそれより今は喉が渇いて…」 「昨日の昼から何も食べてないからねえ。お茶あるよ」 「…何も食べてない?」 「あれ、覚えてないんだ。それ着替えさせたの俺なんだけど、それも覚えてない感じ?でもサイズ合ったみたいで良かった」 トレーを机の上に置いた後、ビニール袋をゴソゴソと探りケーイチは、はい、と冷えたペットボトルのお茶を差し出してくれた。 「あ、助かる!ありがと」 冷えたお茶をグイッと飲み込むと、喉が潤って少し息が落ち着けた。 「いい飲みっぷりだね。ついでに見ての通りお昼ご飯なんかもあったりするんだけど、どう?」 「!食べる食べる!!…て、イテテ」 急に大きい声を出したせいか頭がズキンと痛んだ。ケーイチが心配そうにこちらを伺う。 「大丈夫?」 「だ、大丈夫。てか、わざわざ作ってきてくれたんだな。俺の部屋なんもないもんな…何から何までごめん…」 「何言ってんの。困った時はお互い様でしょ、友達なんだから。それに俺のお昼ご飯のついでだしいいんだよ」 「ケーイチ……。今度!今度丸屋でラーメン奢らせて!」 「あはは、気使わなくていいのに。でもあそこのラーメン美味しいからお言葉に甘えちゃおうかな?」 「おう!甘えて甘えて!じゃないと俺の気持ちが収まらない!」 食い気味に頷くと、ケーイチは笑いながらトレーを机の上に置いた。 「ありがとう。じゃあ、睦人こそ今はしっかり甘えてね?」 「……うぅ…ケーイチ優し過ぎかよ…」 「そんなことない、普通だよ」 ケーイチの気遣いと優しさに心がじんわり暖かくなる。こんなにも真っ直ぐ優しさを向けてくれる人間に会ったのは初めてかもしれない。 自分とは比べ物にならないほどの人間の出来に感動していると、ケーイチはトレーから作って来てくれたご飯を机の上に並べ出した。 「おおお、ハンバーグ……!」 しかも、半熟卵の目玉焼き付きときた。 なにこれ最高ですか。 「好き?」 「うん!めっちゃ好き」 「そう。なら良かった。じゃあ、いただきます」 二人でソファに腰掛けて目の前の出来立てのハンバーグに箸を伸ばした。ご飯も炊きたてなのか白米が美味しそうに湯気を登らせている。 「はふ、お!…うまっ」 ハンバーグを口に入れると肉汁がじゅわと溢れ出てきた。 母親の作る家庭的なハンバーグも好きだが、ケーイチの作ったハンバーグはお店で食べるようなクオリティの高さだった。 同じお皿の上には茹でたジャガイモや人参、アスパラなどもきちんと添えられていて色合いも抜群だ。完璧主義というやつだろうか。 やなり勉強のできる人は料理とかもきっちり作るから、こんなに美味しくできるんだろうな。

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