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ご飯を食べ終える間際、「そういえばなんで俺、この部屋で寝てたんだ?」と尋ねると一瞬考えるような仕草をして、ああ、と思い当たる節があるのかすぐに頷いた。 「佳威から抑制剤飲ませたって聞いたけど、そこからあんまり記憶が無いみたいだね」 「…そう、だな。気を失ってからはあんまりよく覚えてないや」 「雨が降って来たのは覚えてる?」 「うん」 久しぶりに見るような強烈な雨だった。体に当たる強さは痛いくらいだったのを覚えている。 「あの後もずっと止まなくてさ。しかも雷まで近くで鳴り出して…あそこ、山の上でしょ?雨も凄いし万が一雷が落ちたら危ないってことで15時からの予定は全部中止になったんだ。それでそのままバスで学校まで帰ってきたんだよ」 「あ~、なるほど。キャンプファイヤーちょっと楽しみにだったんだけど…確かに雨やばかったもんな」 「そうだね…で、睦人は気を失ったように眠ってて起きないし、でも俺達睦人の自宅知らないしで、ここに運んだってわけ。ちなみに家には先生に事情話して、学校から連絡して貰ってるから大丈夫だよ」 「そうだったのか…うわあ、ほんとごめん。ありがとう」 聞けば聞くほど申し訳ない気持ちが込み上がってくる。迷惑ばかり掛けてるじゃないか。 「全然。それより、もしかしたらお家の人から連絡きてるかも知れないよ。見てみた?」 気にしたそぶりもなく首を振るケーイチに、言われた通り携帯を見ると母親から連絡が入っていた。 《リッちゃんおめでとう!赤飯炊いとくからね。のんびり一週間後に帰ってらっしゃい!》 なんともまあ呑気な内容だ。息子の発情期がそんな嬉しいのか。赤飯て…… しかもなんならさり気なく一週間は帰ってくるなと言われているんだが、どうなのそれ。放任過ぎじゃないだろうか。 母親らしい内容に苦笑いを浮かべながら一度閉じ、他にも新着メッセージが入っていたので開いてみると今度は有紀からだった。 《風邪引いたって聞いたけど大丈夫ー?病院ちゃんと行った?》 という珍しくマトモな文面だ。 「ケーイチ。有紀に俺のこと風邪って言ってくれたのか?」 「ん?…あ!そうそう。睦人が有紀くんにΩのこと話してるのか分からなかったから念の為にね。彼は知ってるの?」 「…知ってるのは知ってる。けど、ヒートが始まったことは知られたくなかったから…この対応で大正解だよ」 バレたのが佳威だったから良かったものの、有紀にバレていたら多分大変なことになっていたと思う。

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