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「抑制剤飲んでるから大丈夫って言いたいところだけど、お店の場所が分かんないから助かる。近くにスーパーとかあったっけ?」
「スーパーならちょっと歩くけど大型の所があるよ。でも、睦人体調悪いのに動いて平気?」
「お腹も満たされたし、動けない程じゃない!飲み物とかも買っておきたいし」
「そっか。じゃあちょっと外出できる服、持ってくるよ。そのまんまじゃちょっとラフすぎるし」
「あ、そうだった。ありがと!ズボンだけでいいから」
「オッケー。じゃあちょっと待ってて」
部屋着も買っとこうかな。
Tシャツと短パンぐらいはあってもいいし。
ケーイチが消えた玄関を見つめながら、随分と頼ってしまった申し訳無さに、今度丸屋に行ったらラーメンだけじゃなくて、炒飯と餃子もつけなければと心に決める。
ケーイチは食べきれるだろうか。
そんなことをぼんやり考えていると部屋の呼び鈴が鳴った。
「早…!?」
ケーイチの早過ぎる帰還に、何かあったのかと急いで玄関を開けると、目の前にはケーイチよりも遥かに背の高い奴が立っていた。
「…………か…」
「よ」
「……佳威」
こちらもいつもとは違う濃いネイビーのVネックシャツに膝丈短パンというラフな服装で、ポケットに片手を突っ込んだまま手を挙げる――佳威の姿があった。
ーーー
「あの…その節は…えー、大変見苦しい姿をお見せ致しまして……その…」
何故ここが分かったのか謎だがとりあえず佳威を部屋に入れた俺は、居たたまれなくなり即座に昨日の非礼を謝罪した。
佳威はそんな俺に別段驚いた様子もなく、ソファーに腰掛けたまま軽く上体を倒す。
「まだ抑制剤効いてんだな」
「…うん。今日もまた飲まなきゃ駄目だけど今のところはバッチリ…」
「だろうな。まあ、忘れんなよ」
「うん…あの……佳威。本当にごめんな。昨日…俺気持ち悪かったよな」
会話が途切れそうになり思わず不安を口にすると、佳威が驚いたようにソファーの側で立ったままだった俺を見上げた。
「それ、本気で言ってんのか?」
「…大真面目だ」
「んなこと言ってくるやつ初めてだわ。…心配すんな。可愛かったぜ」
女の子に対して囁くような台詞をサラリと告げられ、予想外の台詞に俺は空気を欲する魚みたいに口をパクパクさせた。
「か、…かわ?」
「いやー、俺ほんとよく我慢できたよな。初めてであんな誘い方してくるなんて、睦人もなかなかやるじゃねえか!」
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