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「やだ~りっちゃんなに慌ててるの?幼馴染と結婚するなんて、ロマンチックじゃない?お母さんそういうのドラマで見たことあるわよ」 「ドラマだから!現実にそれはあり得ないから!」 「俺は香織さん達の息子になれるなら逆にお願いしたいくらいだけど?」 「渥くん…」 「ちょ…渥!お願いだから話をややこしくするのだけはやめてくれ!母さんも胸をときめかすのやめて…!?」 大きな声を出したせいか、母親の対応に追われたせいか。 ありがたい事にもっと頭が痛くなった。 はあ。 「…とりあえず俺これから寮に戻るから、ほんとに遊ぶ…のかは、まあ別として荷物だけ用意してくる」 「りっちゃん、寮に戻るの?」 「誰かさんが一週間帰ってこなくていいってメールくれたからプチお泊まりしてくるんです!」 「やだ、この子ったら拗ねてる。そういうのはもっと可愛い子がするものよ?まあ、あんたはお母さんから見たら…」 「もうそれさっきやったから!お願いだからちょっと黙ってて!」 同じことを言おうとする母親にストップをかけ、俺は様々な意味で痛む頭を抱えて自分の部屋へ駆け上がった。とりあえず制服類と数日分の下着、携帯の充電器などをカバンに詰め込んで、再びリビングへと戻る。 「よし、準備できた!」 「早いな」 また母親と仲良くお喋りしていたのか、椅子に座り直していた渥が一言呟いて立ち上がった。 「じゃ、母さん。俺ヒートが終わるまで寮で生活してみるから!また来週の今頃帰ってくるよ」 「はあーい。あ、りっちゃん!渥くんが寮まで一緒に戻ってくれるって。渥くん手間だとは思うけど睦人のことよろしくね」 「俺も寮に部屋あるんで気にしないでください。じゃあ、香織さん珈琲ご馳走様でした」 「…渥も寮なの?」 「言ってなかったっけ」 まあそりゃαなんだし、寮に部屋があるのは当たり前か、と納得する。 相変わらずニコニコ、あるいはにまにましていた母親に別れを告げ、渥が先に部屋を出て歩き出したのでその後ろについて家を出た。 寮に戻るため通い慣れている大通りに出ると、渥は何を思ったのかパッと手を上げ走っていたタクシーを止めるとサッと中に乗り込んだ。 「渥?」 「何やってんだ、早く乗れ」 中から俺の腕を引っ張っられて、雪崩れ込む用に同じようにタクシーに乗り込む。ドアが閉まると、渥は後ろを振り向いた運転手に俺の知らない住所を伝え、タクシーはエンジンを震わせあっという間に発車してしまった。

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