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「ねえ、見て見てー!すっごい地味!こんな地味なの初めて履いたかもー!」 「うおっ、ビックリした…!」 ベッドに寝転がりのんびり携帯を弄っていた俺の元に、先に風呂に入らせていた有紀が部屋のドアをバンッと開けて入ってきたのは渥が帰って一時間と三十分くらいが経ってからだった。 見て見て、と言うから体を起こして見上げると、パンツのみを履いた裸体でギョッとする。 「なんでパンツ一丁なんだよ!着替え渡しただろ」 「香織さんが平気って言うから〜、それにまだ暑いんだもん」 母さん… きっと母親のことだ。平気どころか目の保養ぐらいに思って喜んでいるに違いない。父親は既に酔っ払って何も考えてないだろうし。 有紀は俺が渡していた着替えをポイっとベッドの端に投げた。こいつはほんとに…人が貸してやったもんを投げるなんて! 「コンビニってこんなのしか売ってないんだねー!しかも二枚セットしか無くてさ、でも俺もうこれ二度と履かないとおもう。リクいる?」 地味と言った薄いグレーのボクサーパンツを履いた有紀が袋に入ったままのもう一枚のパンツを掴む。 地味と言うが、普通だと思う。色の薄さと無地なのがコンビニっぽい気もするけど、こいつは普段どれだけ派手なパンツ履いてるんだ。 「いらないなら貰うけど、その履いたやつはいらないからな」 「ええ!?履いてるやつあげようと思ってたのに!」 「お前馬鹿か!?じゃあその右手に持ったやつはなんなんだよ!」 思わず刺々しい言葉が出てしまった。こいつが突っ込まざるを得ないことを言うから… 有紀といると素になるというか、俺自身に裏表があるわけじゃないけど、気を遣わないで会話をしている気がする。 断固拒否を示す俺を見て有紀は「ウソでーす」と笑いながら抱き着いてきた。二人分の体重にベッドが沈む。 「ちょ、馬鹿!引っ付くな…っ」 ほぼ裸の有紀なので触れ合う肌がすべすべで気持ちいい。 「馬鹿って二回言ったあ?リクよりは頭いいもーん」 「それはごもっともですけど…」 「リク〜」 足を絡めて抱きついてくるものだから、俺は身動きできず有紀の頬ずりに「ううう」と呻き声を漏らす。 もちろん頬もつるつるで気持ちいいんだけど、決して流されてはいけない!こいつは油断がならないのだ。 「有紀!いいか?今日泊まるのは父さん達が言い出したからもういいとして、お前はココ!俺は床で寝るから変なことしたら即帰らせるからな」 「んえ〜?いくらなんでも香織さん達のいる家で手は出さないよー!だから昔みたいに一緒に寝よお?」 「寝ません!」 頬ずりをしていた有紀が至近距離で俺を見つめてくる。近過ぎる。近過ぎるぞ、離れろ。 「有、」 「リクにね、聞いて欲しいことがあるの」 「…聞いて欲しいこと?」 「うん、だから一緒に寝させて?本当に変なことしないから」 「………」

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