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痛みの後に火傷したような熱が指先に広がる。 条件反射のように手を引いて指先を見るが、薄い明かりしか付いてないのでハッキリとは見えない。 よくよく目を凝らせば中指に噛み付かれた痕が見え、加えて指先はジンジンと痛むがかろうじて血は出ていないようだ。血ってそんな綺麗なもんじゃないから有紀の口に入ったのでは、と少し焦ってしまった。 「ねえ、リク。ちょっと後ろ向いて?」 枕に頭を置いたままの有紀が、目だけで上半身を起こした俺を見上げる。 「後ろ?…てかお前なにしてんだよ。寝惚けてんのか?」 「……」 突然牙を向いた有紀に文句を言いながら、安穏としていられない台詞も聞こえてきたので神経を逆撫でしないようベッドから離れようと試みる。 その際、図らずも有紀の言う通りの格好をしてしまったようで視界の両端ににゅ、と腕が伸びてきた。ギョッとしたのも束の間、後ろに強く引き寄せられる。 「待て待て、ちょっ…、…ん!?」 有紀の左手が騒ぐ俺の口を塞ぎ、右手が何故か項に触れた。着ていたTシャツを後ろに引っ張られて軽く喉が閉まったが、口を塞がれているのでくぐもった声しか出ない。 なに…!?なんだ? なんで突然項なんか。 突然の行動に意図が読めず混乱していると、後ろから聞こえる声。 安堵と怒りが混ざりあったかのような不思議な声色だった。 「噛まれては、ないねえ。噛まれてたらどうしようかと思った。…やめてよ。俺不安になるとしたくなっちゃうんだから」 「んん…っ?」 ドキッとした。嫌な鼓動だ。 どんどん脈拍が早くなる。

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