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「え」 「元カノ、女だし…安成とは全く、全然似てない。誰が似てるなんて言った?」 「………さ、早妃くん」 と、桃哉くんも似てると言ってた。まあ桃哉くんの場合は「系統が」と言っていただけだが… 「やっぱりあいつくだんねぇこと言ってたな…」 ゆら、と春さんの背後に不穏なオーラの幻覚が見えて、思わずヒェと悲鳴が上がる。そんな俺に気付くと、すぐに表情を和らげ額にキスを落としてくれた。 「元カノなんか気にしてたの?確かに昔は好きだったけど、もう全然好きじゃない。俺が今好きなのは安成だけ」 「ま、待って!?じゃあ、なんで俺のことヒトメボレだなんて…」 「?…ヒトメボレしたから?」 「こんな普通なのに!?」 ガグガクと揺さぶりたい衝動を我慢して春さんを見上げるとキョトンとした顔。 「俺はめちゃくちゃ可愛いと思ってる。…タイプって人それぞれだろ?」 ………ご、 ごもっともです。 とんでもなく正論。 えーと。 ということは春さんは俺が元カノに似てるから惚れたわけではなく、元カノも俺もただ春さんのタイプの顔をしていただけ、という、こと……? 「ッ…ぅわ、あぁああ!!?」 なんだそれ!?なんだそれえええ!!! ヤバイ!!恥ずかしい!!自分の被害妄想だったってことじゃん!嘘だろ…ヤバイって。語彙力崩壊する程度にはヤバイ。ヤバイしか出てこない。引くほどヤバイ。 茹で蛸になりそうなほど熱い顔の半分を勢いよく両手で隠す。 なんだこれ、はっず!! 目の前で叫び出す俺を不思議そうに見ながら、顔を隠す手を春さんに両手で外された。 「…安成?」 「あっ、あわ…な、なんでもない!ただそのっ、元カノに嫉妬しちゃってただけで…うん!それ以上でもそれ以下でもないです!」 「そっか」 春さんが安心したように微笑む。ここ最近で一番の羞恥心を感じる出来事に動揺を隠し切れない俺だったが、向けられた笑顔に緊張していた心がホロホロと和らいでいく。 さっきまで怖い顔してたから余計にギャップを感じて、ときめくし甘酸っぱくきゅうんと胸が締め付けられる。 「じゃあ今度サキ、ヤッとくね」 しかし吐き出された言葉はなかなか不穏な台詞だった。だから春さんのヤるはどっちの意味か分からなくて怖いんだって…

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