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あーで、こーで、それから

春さんの大きな手が俺の背中を軽く押す。枕を抱え込むようにうつ伏せになって、解された下半身、さらには大切な部分を突き出すような体勢へと誘導された。 覚悟はしていたもののエロゲで見たような格好を自分がしているのかと想像して、一瞬呼吸が止まりそうになった俺である。 気持ちが通じ合った次の日の放課後。本当はあの夜に今すぐ、と言う春さんを何とか宥めて、放課後の誰も家に居ない時間に部屋に来ていた。 何故次の日なのかと言うと、あの時間帯だと春さんのご両親も桃哉くんも家に居るからだ。桃哉くんとはつい数十分前まで顔を合わせていたわけだし、いくらなんでもそれは恥ずかし過ぎる。 そして2人きりの空間で、春さんに身を委ねた。 冷静に考えることで恥ずかしさを紛らわそうとしてるのは自分でもよく分かってるんだけど、こればかりはもうどうしようもない。見られて恥ずかしいのはもちろん、何よりこの体勢にさせられたということはアレが挿入(はい)ってくるということで… 俺の男同士のナニナニ予習が間違っていなければ遂に、ということになる。 ちなみに何故この格好なのかと言うと、春さんが後ろからの方が俺の負担が少ないと教えてくれたから。 男と付き合った噂は聞かないが、男もイケるという噂が立っていたくらいだ。きっとセフレの中に男がいたんだろう。 好きだと自覚してから過去に居たセフレの事を考えると、不思議なことに今度はジリジリと嫉妬してしまう。恋愛感情って凄いよなあ。でも過去は過去。元カノのことがスッキリした今、それ以上を考えても不毛な事は分かってる。 「安成、何考えてる?」 「…あっ、ううん」 「こわい?」 後ろから春さんが体を屈め、俺の背中にちゅ、と優しく唇を寄せた。腰に直に感じる春さんのしっかり筋肉のついた硬いお腹の感触。自分の体が熱いのか春さんの体が熱いのか。近付いた事によりお尻に一際熱く硬い部分が触れ、思わずビクッと驚く。 「こ、こわくない。怖くないから、大丈夫…!」 「ホント?」 コクコクと頷くと、春さんの体が静かに離れてお尻に感じていた熱さが一か所に集中する。 「ゆっくりするから、力抜いて」 ず、ず…と言葉通り春さんが優しく、ゆっくりと、俺の様子を見ながら腰を落としてくるのが分かった。

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