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04
「まっ、狩吉がほんとに安成のこと大切にしてんだって分かって…なんか安心した」
「お前…」
「ウルウルしないでくださーい!俺ばっか幸せで申し訳なかったし安成が幸せになってくれたら気が楽ってだけだもん。それより!安成くん。いつの間にか廊下がとっても静かですがお気付きですか?」
「んあ!?なんだって!?」
ガバッと廊下の方に顔を向けると、この高校に入学してから何度も見た光景。緊張したような面持ちで遠くを見つめていたり、分かりやすく狼狽え目を逸らす者。とにかく目立たないように皆揃えたように静かだ。
つまり、ということは。
「!」
扉のすりガラスに金色が見えて、想像通り春さんが顔を覗かせた。
「春さん!」
春さんだと分かった瞬間嬉しくなって席を立つ。扉まで小走りで向かうと、優しげな表情で両手を広げられたので躊躇うことなくその胸に飛び込んだ。
ザワッ
途端に周りから小さく動揺の声が響いて、ハッと我に返る。
しまった!
学校だった!
一瞬春さんしか見えなくなってしまったんだが…!?こんなにも人の目があるところでビビリに有るまじき愚行だ。
まさに恋は盲目。なんて恐ろしい現象だろう。
でも春さんホントいい匂い…実は俺この柑橘系の香り大好きなんだよな。正直ずっと嗅いどける自信ある。ああ…もう大好き…しあわせぇ…
「いつまで抱き付いてんだよ。周り見てくんねえかなあ」
離れねばと思いながら離れがたさにキャラ崩壊しそうな思考で蕩けそうになっていると、春さんの後ろから春さんではない声が聞こえた。どこかで聞いたことのある声だ。
驚いて身を離し、春さんの背後を覗き込んだ瞬間悲鳴が溢れる。
「ヒッ…!?」
「久しぶりだねー、仲花クン?」
こ、この胡散臭い笑顔は…
「さ、早妃くん…」
春さんの後ろにいたのは不良グループsakuraの幹部かつ春さんと同じクラスの早妃くんだった。何故か頬の横に痛そうな青タンが出来ているが、喧嘩でもしてきたんだろうか…
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