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初めての放課後デート

「もー、元気出しなよー。いいじゃん、公式にお付き合いしてることがあれで知れ渡ったんだから。今日から安成の学校生活は安泰だよ!ヤッタネ!」 「………」 「いやぁ、でもいいもん見たわ~。狩吉ってあんな風にチューするだね。ちゃんと身を屈めて自分からしてくれるなんて、愛されちゃってるね、安成くんは」 「………」 「てゆか俺らのことアウトオブ眼中過ぎじゃない?みんなが注目してる中でするなんて…待てよ。もしや、あれは俺らに対する牽制…?やば!狩吉って独占欲強めなのかも!」 「叶」 「あっ、やっと喋った」 「ちょっと黙ってて」 「はーい」 叶は言われた通り黙ったが、魂の抜けたようにボーとしている俺の頬を人差し指でぷにぷにと突いてくる。声は出さないのに、うるさいなんてすごい奴だ。 狩吉さんの教室公開キスの後、本人が居たから反応できなかったクラスメイト達は狩吉さんの姿が見えなくなったのを確認すると一斉に騒ぎ出した。 それもそうだろう。猛獣の餌だと思って居たもやしが、猛獣の嫁だったわけである。驚かない訳がない。 好奇な目と、哀れみの目を同時に向けられる日が来るとは思わなかった。しかもこんなにジロジロ見られて何を言われてるのかビクビクしてしまう。耳をそばだてて聞いてみると、狩吉さんの男の趣味の意外性と、俺の今後がどうなるのかという話ばかり。 ちなみに一番の話題は、狩吉春は笑うことが可能だったのか、という内容だった。やっぱりみんな思うことは同じらしい。 あと俺の今後は、女とは違って妊娠しないのをいいことに所構わず中出しされ、女よりは頑丈なので時には人間サンドバック、そして狩吉さんの仲間周りに輪姦されて、飽きられてポイされる未来らしい。 「……駄目、吐きそう」 「えっ?吐くの?こっちには向けないでね。トイレ行ってね」 叶の冷たい対応に嗚咽をグッと堪えた。 出来れば飽きられてポイされるとこだけ実現してくれたら嬉しいんだけど…それ以外は全部却下したい。特にサンドバックと輪姦は嫌だ。でも絶対無いとは言えない未来予想図に胃が押し上げられる感覚に襲われた。 「狩吉と初めての放課後デートだもんね。緊張して吐きそうなの?初心~」 なにが、うぶ~だ。他人事だというのを隠しもしない叶の態度に虚しさを覚える。 「緊張ね…まあ、緊張もしてるよ。そりゃあね…」 狩吉さんどころか、放課後に誰かとデートをするなんていう行為自体が初めてのこと。 というか、デートなのだろうか。俺は一緒に帰ろうとしか言われていない。 叶が放課後デートだなどと言うから無駄に緊張してしまうし、緊張の原因である叶はそんな俺を見てニタニタと笑っていた。 「………なんだよ」 「い~や?大変そうだなあっと思って」 「絶対嘘だろ!顔、笑ってるじゃん」 「ふひひ」 「………」 美少女アイドル顔が下卑た笑みを浮かべるのは正直見るに耐えない。

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